飲食サービス業におけるカラーマーケティングの実践

2012-12-24

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

「色」で売上をどう伸ばすか

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 カラーマーケティングは、ひらたく言えば「色」で売上をどう伸ばすかということです。1920年代のアメリカでパーカーが赤の万年筆を、GMがカラー車を販売して大成功をおさめたのが始まりです。その後理論の研究や、実験による仮説の検証・ルール化が進み今日に至っています。
 今回は「飲食サービス業」の理論や実験に基づく色による売上アップの具体的な方法をいくつか挙げてみました。想定している顧客層や店舗が位置する地域、扱っている商品や価格帯によって様々な活用が考えられますので参考にして下さい。
 

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1 レストランのテーブルクロスは赤系にしよう

 暖色系(赤・橙・黄など)は食欲を増進させ、精神を興奮させ楽しい気分にさせます。従って、レストランのテーブルクロスは赤系だと料理を美味しく感じ、会話も盛り上がり追加のオーダーも増えます。スカイブルー等青系にするとその逆になります。

2 ラーメン屋さんの内装・外装は暖色系にしよう

 アツアツのスープで食べると美味しく、体温が上がるラーメン店は内装を暖色系にしましょう。暖色と寒色の「体感温度」には3度の温度差があるという実験結果があります。

3 ファーストフードや喫茶店など回転率を上げて売上を稼ぐ店の内装は暖色系にしよう

 暖色系の内装では、交感神経を刺激して、実際に経過した時間より長く経ったと感じ、「満足のうちに帰っていただく」ことで売上をアップします。

4 料理の盛り付けには反対色をうまく使おう

 反対色とは虹の7色を環状に並べたとき反対側に位置する色同士で赤と緑などです。
反対色はお互いに相手(食べ物同士、食べ物と食器)を引き立て料理を美味しくします。

5 飲食店の照明には間接照明を取り入れるとともに調光機をつけよう

 間接照明(反射光で明るさを取る方法)は陰影の変化のあるメリハリの利いたお店にします。また調光機(照度調整機)により光の環境をコントロールすることも大切です。

6 ショウケースのロウの食品サンプルの背景は黒などの濃い色にしよう

 背景の色を黒などの色で暗くすると、中の色をより鮮やかにより魅力的に見せる効果があります(色彩心理学のべゾルト効果)。

※色相関と暖色・寒色

 色相関とは、右上(下図)のように赤・橙・緑・青・紫を六角形に配置したものです(4で述べられているのはこの輪の事です)。
赤・橙・黄は「暖色」、緑・青・紫は「寒色」と呼ばれ、同様の効果を持つ色をまとめて暖色系・寒色系と言っています。

暖色系:赤・橙・黄・ピンク・茶色など暖かみを感じる色
寒色系:緑・青・紫・白・黒・グレーなど冷たさを感じる色

(中野区中小企業診断士会 枝廣 安人)

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