口コミパワーが行列を作る

2014-05-11

2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

本物のこだわりにお客様は反応する

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 物販店や飲食店などの実店舗は、お客さまにご来店いただいてはじめて商売が成り立ちます。最近は、インターネットを活用して実店舗の集客や売上に結びつける例が、数多く見られます。ここでは、自店のホームページはもたずに、宣伝広告費もほとんど使わないでインターネットによるクチコミで集客に成功した「行列のできるラーメン店」の例をご紹介します。
 

1.経験豊富な創業者

 Mラーメン店は、中野区で指折りの繁盛商店街に半年ほど前に開店しました。店長のFさん(30代、男性)とパートナーのSさん(30代、男性)には、飲食業界での長い経験と実績があります。二人は、開店直前まで同じラーメン店チェーンに勤務していましたが、いずれは自分達のお店で理想のラーメン店を経営したいという夢をもっていました。そんなとき、中野区の商店街のなかに居抜きで格好な物件が見つかりました。二人で勤務していたチェーンの本部を退職し、新たに株式会社を設立して独立開業することにしました。
 開業資金は、開業をめざして貯めてきた自己資金でじゅうぶん間に合いました。しかし、製麺機の購入には多少不足します。せっかく自分のお店をもつのですから、ぜひ自家製のおいしい麺をお出ししたいという「こだわり」があったのです。そこで、中野区の創業支援融資制度を利用して、製麺機の購入資金を手当てすることになりました。
 

2.宣伝広告費ゼロ― 「クチコミ・マーケティング」の威力

 ご相談に対応して、堅実な創業計画書から成功を確信しました。一つだけ気になったことは、新規創業にもかかわらず初年度から宣伝広告費がほとんど計上されていないことです。その点をおたずねすると、「あえて宣伝しなくても、ファンの皆様が勝手にインターネットで宣伝してくれますので大丈夫です」ということでした。
 開店後しばらくしてインターネットで調べてみると、おききしたとおり当店の記事が何と1万件以上も検索されます。当店のお客様が、自分のブログやホームページに、お店やメニューの紹介、食後の感想などを、地図や写真までつけてくわしく掲載しているのです。しかも、その内容は、第三者がグルメ情報として発信するものですから、自店のホームページを作って宣伝広告をする以上に効果と信頼感があります。いわゆる「クチコミ・マーケティング」の威力が、最大限に発揮されています。もちろん、このように紹介されるのもお店や本人に実力があってのことです。
 

3.成功の方程式

 先日、昼食に立ち寄ったところ、まさに「行列のできるラーメン店」です。店内に設置した製麺機で当日使用する量だけ麺を打つので、売切れ次第閉店です。午後7時すぎまで営業している日は、めずらしいそうです。打ちたての麺は最高ですし、味もベーシックでおいしいラーメンです。
 もうひとつ驚いたことは、お店に若いお客様が多いことです。この商店街にまちがいなく新しい流れを作り出していくお店になるでしょう。好調な業績に、2号店開店の計画もあるそうです。
 当店の開業成功の要因をまとめると「創業者の豊富な業界経験とかがやかしい実績」「格好な居抜き物件の店舗により開業費を節減」「インターネットによるクチコミ・マーケティング」の3つに集約されます。つまり、知り尽くした業界で、口コミが広がるようなこだわりを持って、堅実な計画を立てて、創業したということです。華々しく広告で集客し、開店時にお客様が来ても、本物の商品やサービスがなければ逆にお客様は離れていきます。結局は、中核となる商品やサービスが本物の逸品であることが行列店の近道なのです。

(中野区中小企業診断士会 飯田 廣己)
 

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