競合店対策のツボ

2014-09-13

ミニスーパーの競合店対策に学ぶ

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 食料品小売業の商圏は狭く、売場面積が100坪未満のミニスーパーの商圏は半径500メートル程度です。この商圏に競合店が出店した場合、死活問題になります。A店は地域密着型のミニスーパーとして頑張ってきました。ところが、商圏内に競合店が出店し業績が下降し始めたのです。そこで、以下に記したような対策を行なったところ、見事に業績が回復しました。A店の成功事例をもとに競合店対策を考えてみましょう。

 

対策1.生鮮三品の鮮度管理を徹底した

 精肉、鮮魚、青果の生鮮三品はスーパーにとって大変重要な部門です。A店では、この三部門の品揃え政策の中で最重要課題を「鮮度」として重点的に管理を行ないました。特に葉もの野菜は見た目で鮮度がすぐ判ります。お刺身も生で食べるものですから鮮度が落ちたものはすぐ判ります。鮮度が落ちた商品を安く販売しても、顧客は安く買った事を忘れ悪印象だけが残るものです。鮮度が落ちる前に見切り販売し、鮮度が落ちた商品は絶対に販売しないようにする事が大切なのです。

対策2.レジ要員の教育を徹底した

 スーパーは意外と思えるほど、レジ関連のクレームが多いのです。
「刺身の上に重い野菜をのせた」「つり銭を間違えた」「レジが込んでいてもダラダラしている」「レジが空いている時おしゃべりしている」等々。
 そこで、A店では“レジはスーパーの顔である”事を徹底的に教育しました。通常、レジ要員はパート社員が多く、帰属意識も正社員に比べて高く有りません。経営者が自ら率先して顧客志向の経営を行なっていることもあり、見事に顧客志向が浸透しました。

対策3.新聞折り込みチラシの廃止

 スーパーの広告宣伝費の多くは新聞折り込みチラシです。金曜日、土曜日は大手スーパーからミニスーパーまで沢山の新聞折り込みチラシが入りますが、特価による訴求がほとんどです。商圏範囲が広い駐車場を多く備えた大型スーパーであれば効果が有りますが、足もと商圏(せいぜい半径500メートルまで)を対象としたミニスーパーということもあり、A店では思い切って新聞折り込みチラシを廃止してみました。そして、新聞折り込みチラシの代わりに店内配布チラシに切り替え来店客に特売予告チラシを配布したのです。その結果、浮いた経費で思い切った価格訴求商品を提供する事が可能となりクチコミで来店客は増加してきました。新聞折り込みチラシを廃止することは勇気が要ることでしたが、意外と売上は落ちず、利益が増加したのです。

 A店の事例から、「自店の主力商品に磨きをかけ」「スタッフの教育を徹底し」「慣例に囚われずにコストを削減した」という3つの要素が浮かび上がります。単にやれば良いという訳ではなく、自店の強みと弱みを明確に見極め、他店と差別化できる要因を探していく努力が大切なのです。

(中野区中小企業診断士会 若林敏郎)

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