平成26年度第1回「中野いきいきセミナー」
第40回(平成26年度第1回)「中野いきいきセミナー」が9月20日(土)13時から17時まで、中野区産業振興センターで開催されました。平成11年にスタートした本セミナーは、40回を迎えることができました。今回は、NPO法人中野中小企業診断士会メンバーを中心に21名が参加しました。
昨年度からNPO法人中野中小企業診断士会メンバーだけでなく、中野区創業相談を経て独立された方など外部講師の講演を加え、実務的なスキル向上を目指しています。今回も外部講師1名含めて3名の方に講演いただきました。
第1部は、中野区創業相談を経て平成19年にVIVO PRODUCTION TOKYO株式会社を設立された鈴木社長から「バール(BAR)という飲食業態の新たなステージと戦略について」というテーマで講演をいただきました。創業から7年経った現在は、バール業態の飲食店『vivo daily stand』を都内で9店舗運営しており、「コミュ二ティ機能を備えたバールにより地域の人の日常生活を豊かにしたい」という熱い思いを語られました。その思いを実現するために作られた創業時の事業計画書が、マーケティング、店舗コンセプト、ビジネスモデル、そして資金計画まで大変緻密なものであり、驚かされました。一方、更なる発展をしていくためには、課題もあるようです。中小企業診断士が協力することで、一緒に課題をクリアしていけるのでは、と感じました。
第2部では、工業用計測制御機器メーカで調節計ビジネス推進マネージャーを務める企業内診断士の安田会員から「VE(価値向上技術)を経営改善に生かす」 をテーマに、VE(バリューエンジニアリング)の意義や具体的手法など、どの様に経営改善に役立てられるのかをご紹介いただきました。VE(バリューエンジニアリング)とは、最低のコストで必要な機能を確実に達成するための手法ですが、単なるコストダウン技術ではなく、「機能を思考の原点にして問題を解決する」ものである点が印象的でした。ただ、機能をどう評価するかが、難しいと感じました。専門的な内容でしたが、安田会員は、日本バリューエンジニアリング協会認定VEスペシャリストでもあり、分かりやすい講演いただきました。
第3部では、永吉会員から「日本企業を取り巻く環境の変化と中小企業の対応について」講演いただきました。永吉会員は、平成25年6月末まで大手証券グループに勤務し、香港とオランダに駐在の経験があります。独立後の現在は、三多摩支部に所属し、三多摩支部国際部長を務め、中小企業の海外展開支援を目指しています。アジア新興国は目覚ましい発展を遂げており、日本の市場が相対的に縮小している環境下の中小企業ビジネスの国際化の現状を、豊富な資料、データに基づき、説明いただきました。中小企業診断士として国際化支援にあたっては、コストを下げるための海外進出ではなく、自社の強みを確認し、自立化を目指していくことが重要だと感じました。
いずれの講演も興味深い内容であり、時間が足りなく感じられました。その後、17時30分から開催された懇親会も、講師の方を囲んでの有意義な情報交流の場となりました。
中野いきいきセミナーは、毎年3月と9月に実施していますので、会員の方には積極的に参加いただくとともに、お知り合いの方に声をかけていただきたいと思います。
研修部 小林久人