平成27年新春講演会『蔦屋重三郎(蔦重)に学ぶ、リーダーの条件』

2015-02-08

NPO法人中野中小企業診断士会が主催する恒例の新春講演会が1月23日(金)に西武信用金庫本部で開催されました。当日は診断士会のメンバーだけでなく、中野区内諸団体のご来賓や一般企業の方など46名が出席されました。

1.講演会の概要
『蔦重の教え』の著者である時代小説家の車浮代(くるまうきよ)氏を講師にお迎えして2時間の講演をいただきました。車講師は、江戸文化、特に浮世絵と江戸料理に造詣が深く、多くの出版やテレビ出演、企業・団体での講演を実施されています。実用エンターテイメント時代小説『蔦重の教え』は3万部を突破し、尚増刷を重ねています。
講演の前半では、浮世絵の発祥や技法を写真や動画を通して紹介いただきました。髪の毛の1本1本まで繊細に彫る技術、幾重にも丁寧に重ねる擦りの技術には驚かされました。浮世絵とは、後世に名を残す歌麿や北斎といった絵師だけでなく、彫師、摺師よる協同作品でした。そして、その三者を統括するプロデューサー的な役割を果たす版元の存在が不可欠となります。
後半は、その版元の代表ともいえる蔦重(蔦屋重三郎)についてお話しいただきました。江戸時代の名プロデューサー蔦重が仕掛けた数々の画期的な商売方法には、現代のビジネスでも十分に通用するアイデアがあり、診断士としても役立つ内容でした。

講演会1

2.『蔦重の教え』について
出版パーティでの編集者との偶然の出会いが、小説でありながら、ビジネス書でもある『蔦重の教え』出版の経緯だそうです。出版社ではなく、担当編集者が重要だと話されていました。巻末には、小説の中に出てきた「教え」がまとめてあり、いくつか引用いたします。
情報収集を怠らない
「商売柄、世間の評判は常に耳に入れておきたいんでな。俺は出かける先々で、できるだけいろんな町の湯屋に行くようにしている」
相手に期待をかけて頑張らせる
「つまり蔦重はあなたに、『できる』という期待をかけて問いかけたわけですから、あなたは期待に応えるべく、なんとかしなければと思わされてしまったのです」
三方向から見る目を持つ
「実際にてめえが見ている目と、相手からてめえがどう映っているかってえ目、最後に、天から全部を見通す鳥の目だ。この三方から物事を見りゃあ、失敗しないし、騙されねえし、新しい考えも湧くってもんだ」

講演会2

講演会終了後は、車講師にも参加いただき、盛大な賀詞交歓会も開催されました。
研修部 小林久人

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