株式会社 井口一世 見学会報告

2016-02-01

NPO法人中野中小企業診断士会主催「株式会社 井口一世 見学会」が、平成27年12月10日(木)に実施されました。

1.見学会の概要
今回見学に行きました、株式会社 井口一世社は、金属加工会社で、金型を使わず、切削もしないで金属加工する新しい生産方式を開発し、品質や精度を極端に向上させるとともに、コストの大幅な削減を達成しました先進企業です。

2.株式会社 井口一世の特徴
顧客の大半は上場企業で、事務用機器、家電、自動車などあらゆる業種の製品に使う部品を新方式で製造し急成長している企業です。
井口一世社長は大学卒業後、企業勤務を経て独立しました。PC言語レベルからITを勉強、現在の仕組みを構築されました。信条は「何とかなる」(前提は①知識、②知恵、③人的交流ネットワーク)、座右の銘は「成功の秘訣は成功するまであきらめない。」です。

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株式会社井口一世 は金属加工製造業で金属塑性加工を実施しています。
金属加工に関しては世界一精度が高いことを自負しており、累計誤差が1ミクロン以内に収まる、バリが発生しない、ニゲが全くなく曲げができることを追求しております。     
これにより製品価値で勝負でき、価格競争に巻き込まれることなく優位な経営が出来ています。
設備は振動が製造に影響しない構造で、隣の機械とも干渉しないよう分離しています。

3.井口一世社の3つの強み
(1)金型を使わない製造 
金型を使わないので、新製品の初期の製造の受注を多く受けています。これにより発売初期の設計変更による金型製作費用の低減が実現されています。
また、小ロットでも製造可能なため、生産終了後の保守製品、交換部品の製造にも活用されています。
(2)切削を行わない
金型での切削を行わないため、歩留率97%を達成しています。とはいえ、湿度・温度等によるバラツキは当然発生しますので、その部分はヒトが対応したほうが優れた製品がつくれます。このため、勘やセンスを大事にしています。
(3)適正価格
純粋に必要なコストをベースに見積りを行っているため、井口一世社の見積りを標準価格として参考にされる企業様も多くなっています。 

4.従業員
27名の社員で運営されています。社員平均年齢は29歳と若く、70%は女性で、理系の社員は少なく、応募者は700名程の中から毎年数名採用しています。
従業員には、自分で考え、自分で設計して、知恵とセンスを掌握することを基本に教育しています。

5.主な受賞
平成18年2月8日 「第1回渋沢栄一ベンチャードリーム賞」奨励賞受賞。    
平成18年11月7日 「第6回ビジネスプランコンテスト」関東経済産業局長賞受賞。
平成21年12月28日 単行本「創々たる!!小さな世界企業」に掲載。
平成24年10月24日 平成24年度「東京都経営革新優秀賞」最優秀賞受賞。
平成25年2月1日 関東経済産業局施策功労者感謝状を交付。

6.最後に
今回の見学で印象的だった点は、製造品が極めて高品質であることは当然として、①本社と工場が住宅地の中に建設されていること(当然、音や臭気はありません)、②7割が若い女性で非常に清潔な職場で製造されていること、③社名に社長の姓名を使用していること等です。
井口一世社は、創業後の年月がまだ短いにも関わらず、ここまで成長されたのは、高精度の高品質経営基盤と合わせて、認知度アップのための戦略が徹底されていることも大きな要因と思われます。創業以来マーケティングの考え方をしっかり意識して実践されていること、広報やPR活動を積極的にされてことが今日の繁栄を手にされている原動力と確信しました。今後の成長企業の模範になる見学企業でした。
終了後は忘年会兼懇親会を行いました。盛り沢山の内容が詰まった見学会で充実した1日を過ごすことができました。

文責 研修部 谷 進二

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