顧客満足経営の徹底が商売繁盛の秘訣

2013-04-01

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

顧客満足経営のための3ステップ

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 顧客を知ることが商売の原理原則であることは、既にご存知の事でしょう。小売業、サービス業を始め、どの業界であれ、本当の競争相手は顧客であると云われています。顧客との戦いに勝ってこそ、勝利の美酒が味わえるのです。孫子の兵法でも「戦いに勝つには、敵を知ること」と教えています。
 大型店もチェーン店も「顧客を知り、本当のサービスによって、固定化へ」と、あらゆる手段を労して生き残りに懸命になっているのが昨今です。厳しい競争環境の中で勝ち残るためには、顧客のハートを射止める感動のサービスが重要になります。そこで、「顧客を知ることの大切さ」を改めて振り返り、顧客満足経営に至るための3ステップを考えてみましょう。

ステップ1:「顧客からの発想」が効果的販促の出発点。顧客を知る、更に知る、深く知る。

 時代は変化しており、何もしない店は生き残れません。考え方を変えてみましょう。貴方の店は、「顧客のためにある」と発想の転換をしてみてください。迷ったり、悩んだときは、そのことを思い出して「顧客からの発想」で店の販売促進手段を考えてみましょう。良い答えが見つかるものです。
 
 面倒なことでも、顧客の購買行動の変化をありのままに見つめて、そこから店のあり方を考えていくことが大切です。一体、当店の顧客はどのような人々で、固定客は何割ぐらいか、などがある程度整理できれば、次の手だてが考えられるのです。更に、顧客との会話のポイントも忘れないうちにメモして記憶し、リップサービスに活用することで心が通い固定客化の一歩となります。
 
 商売の原則といえば、売り方のテクニックとして商圏の把握、品揃え方法といったものと、属人的なテクニックの売り方や根性・心構えといったものが直ぐに思い浮かびます。しかし、最も大切なのは、「顧客を知ること」なのです。顧客を知ることが商売の原点であり、品揃えもサービスの提供も、売場環境づくりも原点を正確に捉えていれば、あとは商売の努力次第で繁盛店へとすばらしい変化をとげられるでしょう。

ステップ2:商圏の姿を把握し、顧客を絞り込む。○○さんのためのお店になること。

 商圏の本当の姿を把握できているでしょうか。「勘」や「感じ」からではなく、顧客を知る努力が顧客名簿となって、商圏把握の土台となります。「近距離なのに、なぜ来てくれないのか」の疑問は、より具体的な販売促進策の模索へと、一方、「よく来てくれる町」が分かれば、より深く耕すことへの販売方法を一生懸命に考え、より多くの顧客の掘り起こしの努力は、お店の繁栄に結びつくことになるのです。常にお客様が求めるものを探し続ける姿勢が、商圏把握の第一歩なのです。

 大型店でも客層をある程度選択して、商品の差別化戦略を採る時代になりました。価値観が多様化し、すべての顧客に満足を与えることは不可能といえます。逆に発想すれば、顧客を絞り込むことで、自ずから商品を絞り込むことが可能になってくるのです。例えば、用品店で、35歳~50歳まで程度の女性に顧客層を絞り込めた場合、この年代層が購入するであろう商品の品揃えに集中出来ることになります。つまり、対象となる層の顧客にとっては商品選択の幅が広がり、欲しい商品を購買できる機会が多くなるということです。「商品の絞り込み」は、品数を減らすことを意味するのではなく、当店の顧客にミートする商品群を十分に品揃えすることなのです。

ステップ3:顧客満足度経営の徹底で顧客を固定化する。お客もスタッフもお店のファンに。

 顧客の固定化率を高めることに成功することが経営の基本です。固定客はお店の財産です。引っ越しその他の理由で、固定客は年々目減りするものです。固定客づくりは日々の努力の結果の成果です。 顧客の立場、視点でものを考え、商いをすることが、顧客満足経営(one to one marketing)そのものなのです。それが、顧客の固定化に結びついていく繁盛店造りのポイントといえます。

 「顧客を知ることが商売の原理原則」とするならば、もう一方の旗頭は「従業員満足経営環境の構築」といえます。この両者の努力が相伴って顧客満足経営への実現となり、繁盛店への道を歩むことに結びつくものです。顧客を店のファンにするような素晴らしいサービスは、そのお店で働けて幸せと考えるスタッフであってこそ提供できるものです。「顧客満足」と「従業員満足」の両輪を回しながら顧客満足度経営を徹底する事で商売は繁栄するのです。

(中野区中小企業診断士会 新谷安良)

 

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