地域密着経営に有効なチラシのポスト投げ入れと口コミ活用
※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。
「見込み客にお店を知ってもらう効果的な販促方法」
新たに店舗を開業したり、従来の店舗で新しい商品やサービスを始めるときには、地域のお客様に、店の存在そのものや新しく始めた商品やサービスを知ってもらう必要があります。そのために効果のあった2つの事例を紹介します。
事例1:手作りチラシのポスト投げ入れ(ポスティング)
店の告知にはふつう新聞の折込みチラシが行われますが、これは費用のわりに効果はあまり期待できません。目に触れられないまま、くずかごに直行することが多いからです。
区内で長く高級紳士服の仕立てを行ってきたAさんは、関東一円にたくさんのお客様を持っていますが、自店の周辺には一人のお客様もいません。10年前に、紳士服の修理・リフォームで自分の技能を生かしたいと考え、周辺の住居のポストに手作りのチラシの投げ入れを始めました。
そのやり方がユニークです。中野区の地図をもとに、自店の周辺を12に区分し、月に1回1つの区分地域の住居のポストに手作りのチラシを投入することにしました。1年経つと周辺地域すべての配布が終わります。限定された地域を月に1回の配布ですから、丁寧にしかも挫折せずに続けられます。これを何年も繰り返し行った結果、現在では、紳士服の修理・リフォームの固定客が着実に増加し、その関連の売上は全体の約半分を占めるに至っています。
ポスティングお断りのマンションなどもあり、トラブルを起こさない配慮は不可欠ですが、特長のある商品やサービスを持っているお店にとっては、きわめて有効な方策です。
事例2:『ご紹介カード』による口コミの活用
固定客の確保とともに新規の客をいかに獲得するかは、すべての店の課題です。そのために様々な販売促進の手段が講じられますが、特長のある商品やサービスを持つ店にとっては、その商品、サービスに感動したお客様の口コミによる紹介が最も効果があります。
しかしお客様がいつも進んで紹介してくれるとは限りません。数年前創業した飲食店(パスタ専門店)では、開業と同時に『ご紹介カード』を導入しました。名刺大のカードに、表にはご紹介者名の欄と「お知り合いをご紹介下さい、その節はドリンクなどをサービスします」の文面、裏には分かりやすい店の地図を記載し、お客様がレジを終了したときによろしくお願いしますと渡すものです。
サービスに特長のある美容院や飲食店などが、新規客の獲得に効果をあげていますので、このお店でも間もなく効果の出てくることが期待されます。口コミはお客様の好意を待つだけでなく、進んで行ってくれる仕組みをつくることも大切です。
(中野区中小企業診断士会 古屋 実)