こだわり商品が店のファンを増やす「一店逸品」運動の効能

2012-04-06

※ 2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

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平成17年2月、都立家政商店街において「一店逸品」運動が開催されました。なかなかの盛況で商店街の活性化に一役買ったようです。
ところで「一店逸品」というのは商店街単位とは限らず、どのようなお店でも独自に取り組んで欲しいものです。筆者はどのような業態であっても必須の課題であると考えていますが、特に飲食店では大きな集客力を発揮するようです。

筆者の通っていた居酒屋風の和食店の事例を紹介します。格安の居酒屋チェーンに取り囲まれており、競合環境を考えれば、あえて出店するような場所ではありませんでした。しかしながらふたを開けてみると、 周囲のチェーン店を尻目に連日の繁盛振りです。
そのポイントはこの店の逸品にありました。それは店主の味へのこだわりが伝わる、魚の煮付けと西京漬けです。魚の煮付けはまず魚を煮付けてから冷蔵庫に一昼夜寝かしておきます。そしてそれを翌日以降客の注文時に加熱して提供しているのです。加熱には何か秘訣があるのでしょうが企業秘密ということで教えてもらえませんでした。知ってしまえば意外に簡単な事だとは思いますが、ちょっとした工夫をする事が他にない商品を生み出すのです。
一方の西京漬けも同じように漬けるのに2昼夜寝かしておくそうです。来店客はこれらの逸品が目当てで来店し、必ずこの2品のうちどちらか一品を注文します。特に女性客は西京漬けを必ずといってもよいほど注文するそうです。
この店では決してこれらのメニューをお勧め品や逸品として宣伝をしている訳ではありませんが、不思議と必ず注文されるのです。店主の言を借りると「味こそ何物にも変えがたいマーケティングである」といっています。店主の味へのこだわりが明確になっている言葉だと思います。

飲食店の事例を紹介しましたが、惣菜店・精肉店・生花店といった物販店でも同様のことが言えます。例えば、ある惣菜店では五穀米の弁当を逸品にしてファンの支持を得ているお店もあります。全てに共通するポイントは自分が提供している品物で何が自信を持って薦められるかです。言い換えるならば、自店でしか手に入れることの出来ない商品やサービスを提供できる商売へのこだわりを強く認識する事が大切なのです。

中野区中小企業診断士会 外池登志郎

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