売上不振の対策は要素の分析から
※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。
出来るところから、とにかくやってみよう
企業経営でもっとも重要な数値は売り上げでしょう。
なぜならば、売上高は顧客の支持を最も表しているからです。
売り上げが高い企業は顧客の支持が高く、売り上げが低い企業は顧客支持が低いと言っても過言でありません。「競合店が出来たから」「天候不順だから」「景気が悪いから」と売上不振の理由を自社企業の外に見つける事が多く見かけられます。しかし、その理由のほとんどが自社内、自店内に有ることが多いのです。
売り上げが落ちてきた場合にまず行わなければならないことは、顧客数と顧客単価に分けて原因を探ることです。来店客数が減ったのか、顧客単価が減ったのか・・・さらに顧客単価が減少した原因は商品単価を下げすぎたのか、買い上げ点数が減ったのかを探る必要があります。
このように「売り上げが落ちる」理由はさまざまであり、これを克服する方策はそれぞれ異なるのです。
それでは、売上構成の要素別に直接的な売上高増加策を考えて見ましょう。
業種や業態、立地などにより異なる面も有りますが基本的には同様ですので、自店(自社)の参考にしてください。
(1)買上点数の増加策が最初のステップ
まずは品切れを無くすことです。特に衣料品店などでよくある例ですが、サイズの品切れです。食品スーパーなどでも閉店間際では仕方ないものの、夕方早い時間での品切れは致命的です。
その他、温度や天候など季節に合ったタイムリーな品揃え、適切なPOPの取り付け、関連商品の陳列による関連販売、試食販売、新商品の早期導入、興味をひく場所での大量陳列、見切りなどが考えられます。この方策が自社に合った場合、クチコミで徐々に顧客数は増えていきますので、直接的ではありませんが客数増加対策にもなります。
(2)商品単価の引き上げ
単価の引き上げは、難しい方策ですので慎重に実施する事が必要です。
単純に値上げしてしまえば競争力を失います。
まずは商品のグレードアップでしょうか。量目の増加で割安感を出すことも考えられます。その他、お買い得感の出し方として、現金問屋などからの仕入れによる高価格商品のディスカウントも考えられます。
(3)来店頻度を増やす
経費増につながりますので費用対効果のバランスを取ることが重要です。
クーポン券やポイントによる次回来店の促進や動機付けが直接的な方法です。
名物商品を開発するなど回転率の高い商品の品揃えも有効です。
(4)新規顧客を増やす
戦略上最大の難関です。労力とコストが上記の3つの戦略の何倍もかかるからです。
チラシ配布エリアを拡大する。
営業時間を長くする。(深夜、早朝など)
売場を増床し品揃えを拡大する。
落ちた数字を眺めているだけでは決して現状は変わりません。
上記(1)~(4)のように売り上げを構成する要素別に自社に合った方策を計画し、まずは実行することです。そして、検証し、改良を加えまた実行する。この繰り返しにより必ず顧客の支持を得る事が出来るようになります。
(中野区中小企業診断士会 若林 敏郎)