支店開設を成功させる方法
※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。
Aパン店にみる適正投資と経営システムの見直し
事業が順調で、手元資金や人材等が確保できれば、支店を開設して更に事業を拡大したくなるかも知れません。このとき、明確な目的としっかりした経営の仕組み・構想を持つ必要があります。
1.支店開設の目的
支店開設の目的には「成長戦略の一環から支店経営に乗り出す」「本店をさらに専門店化、グレードアップ」「新業態への挑戦」「人材育成」といった様々なものがあり、しっかりした目的のもとで行う必要があります。
7年前に創業したAパン店では、オープン当初から支店開設の構想を持っていました。売り上げも順調に伸び、支店長などの人材が育ってきました。資金が蓄積でき、狙いどおりの好立地の物件も確保できたことから、念願の支店開設に着手することになりました。
2.支店開設の手順
A店では、下記表1に示す手順を参考に支店開設を行いました。創業時から、支店開設を想定して物件情報などを入手するようにしていた事もあり、短期間で実施できたのです。
一般に、設備投資額の目安としては、小売業などで適正な総資本回転率(売上高÷総資本額)を1.5~2.0回転とすると、総投資の概算枠=予想売上高÷総資本回転率(1.5~2.0)となります。
また、投資の採算計算では損益分岐点または収支分岐点を活用する方法、投資利益率(総資本対経常利益率、6~8%がメド)をみる方法、回収期間を計算[投資額÷(税引き後利益+減価償却費)]する方法などを併用したいものです。
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3.開設時の経営の仕組みチェック
A店では、支店開設にあたって経営の仕組みも見直ししました。その上で、リサーチ結果に基づいて品揃えや価格設定、POPやちらし等にも工夫を凝らしました。周到に準備を進めてきた事が奏功し、オープン当初から順調にお客を増やしています。
A店のように、支店開設に当たっては、その目的を明確にし、支店開設のステップばかりでなく経営面全般のチェックを忘れてはなりません。
経営面のチェックは下記表2のポイントを抑えるようにすると良いでしょう。
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(中野区中小企業診断士会 山本武徳)