フランチャイズで起業する三つの勘違い

2012-09-22

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

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 フランチャイズは、既に本部がビジネスの仕組みを構築しているので、事業を多角化したり、起業したりする際に有効な手段の一つです。事業を短期間で軌道に載せられる点で、ゼロから起業する場合に比べ特に優れているといえます。しかし、安易にフランチャイズを選択すると成功どころか失意のどん底に落ちる可能性もあります。
 
 某大手IT企業を早期退職したAさんは、退職金を利用して、あるサービス業のフランチャイズに加盟しました。本部の担当者が「絶対に儲かります」「募集枠がもうすぐ埋まります」というので、始めたのですが殆どお客がつきません。しかし、本部がなんとかしてくれると思い、特に手は打ちませんでした。手をこまねいているうちに、想定していた資金も使い切ってしまいました。焦る気もちは募りますが、本部はなにも支援してくれません。改めて契約書を確認してみると、本部はAさんが期待していた支援はなにもしてくれない事がわかりました。どうすれば良いのか、Aさんは考え込んでしまいました。
 Aさんは何故こんな事になってしまったのでしょう。それは、基本的な部分で大きな勘違いをしていた事が原因なのです。一般にも良くある三つの勘違いにとらわれないよう注意が必要です。
 

勘違い1 フランチャイズに加盟すれば楽をして儲けられる

 フランチャイズに加盟するときに「楽して儲けられる」と考える人が多いです。ローリスクであればローリターンである事は、普段生活をしている中でも当たり前に認識されている事を再認識しておく事が重要です。
 

勘違い2 うまく行かなくても本部がなんとかしてくれる

 サラリーマン時代のように会社に所属して頑張れば安定した収入が保証されると考えていると、Aさんのように困る事になります。あくまでも事業を行うのはオーナーである自分自身であるという認識が重要です。
 

勘違い3 簡単に解約できる

 
 問題があったり、ノウハウを習得したらすぐ解約できると考えている人も多いです。ところが、事業者対事業者の関係なので決して保護されません。解約すれば、違約金が取られる厳しい世界なのです。自分が経営者になるのだという正しい認識が重要です。

 フランチャイズに加盟する場合でも、ゼロから起業する場合と同様に慎重な検討が必要です。あくまでも、事業を行うのはオーナーである自分である事を強く認識し、予め想定できるリスクは回避するよう努力が必要なのです。悩んだときは区の相談窓口などを積極的に活用しましょう。
 フランチャイズ加盟だけで上場するような企業もあります。フランチャイズ・ビジネスをうまく活用して、是非とも成功オーナーの仲間入りをしてください。

(中野区中小企業診断士会 鈴木 佳文)
 

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