社員のやる気を引き出すコミュニケーション

2012-11-23

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。
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 企業内のコミュニケーション、情報の共有化などはなかなか難しいものです。ましてや事業所が2個所、3個所と増えてくればなおさらです。
 今回はこれらコミュニケーションの問題をうまく解決している会社をご紹介します。

 A社は新宿区の倉庫会社で新宿区の本社のほか川口、足立区などに3つの倉庫を持っています。従業員はパートさんを含めて50名。IT環境を整備して「全社共通の掲示板」を持っています。ここにみんなが情報を掲示してうまくコミュニケーションをとっています。
 

1 社長の日報

 社長が朝礼に話したことや気付いたことを毎日日報で掲示する。
 

2 営業部の日報

 営業活動で得た情報を掲示する。例えばお客様からほめられた話、苦情、開拓中のお客様の話、など。
 

3 倉庫部門(A倉庫)

 昨日の活動状況。うまくいった話。現在困っている話。
 

4 倉庫部門(B、C倉庫)

 本日の社員、パートさんの元気情報。
 

5 新入社員の日報

 新入社員は入社から1年間日報を掲示します。

 これらの日報は社員全員が見ていて、いろいろと書き込みを加えていきます。
(例えば)
(1)A倉庫で「お客様の出荷依頼時間が遅く、ぎりぎり出荷で苦労する話」
   →「営業部から助け舟」
(2)「風邪がはやって苦労する話」
   →「今年の風邪はこんな薬が良い」の書き込み
(3)新入社員の日報には「仕事が辛い」
   →「先輩社員から激励の書き込み」
(4)仕事がうまくいったとき
   →「社長からお褒めの言葉」

 これらの情報から社長は手早く気になる現場に入って問題の解決に動き、モチベーションの向上に注力します。このように情報に対するリアクションがあるので、社員全員が情報を共有、全社一丸の心構えが進みます。A社では、この情報制度が始まってもう5年以上経っています。ITの初期投資などお金がかりますがそれを上回る大きな効果があるのです。

 A社のように、ITに投資をしなくても工夫次第で情報の共有化やコミュニケーションの活発化を図ることは可能です。そしてコミュニケーションを活性化する事により社員のやる気を引き出す事が可能になるのです。A社の事例を参考にして取り組んでみて下さい。

(中野区中小企業診断士会 岩田 頼次郎)

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