地域密着型酒販店の粗利益率アップの秘訣

2013-02-24

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

変革の原点は「お客様」

 A酒店は、店主夫婦と後継者の子息の3人で営んでいる酒屋さんです。売上高は、9,000万円、粗利益率は20%を確保しています。頑張っている酒屋さんといえるでしょう。A酒店は、子息が後を継ぐ意思表示をしてくれたのを契機に、親子3人で生き残る酒屋を目指して、業態の転換を進めてきました。目指したのは、「地域密着型の酒専門店」です。

1 商品構成の見直し

 ビールの価格競争の進展で、酒屋さんの粗利益率は低下しています。A酒店は、ビールの値引き販売をしていては、経営が成り立たないと判断し、ビールの値引き販売はやめ、定価販売に切り替えました。当然、ビールの売上は激減しますので、それに替わる商品を地道に育てることに取り組みました。具体的には以下の3商品群を強化しました。

(1)地元清酒と乙類焼酎
 酒専門店として、少しこだわりを持った普段飲んでいただく酒を中心に品揃えを強化。

(2)こだわりの食品
 専門店として、酒だけを扱うのではなく、菓子類から調味料、レトルト食品まで、安全・品質にこだわりを持った商品を集め、こだわり食品コーナーを設置。

(3)旬の食材
 季節の果物を中心に旬の食材を、その季節限定での扱い。
 
 ターゲットとする地域のお客様が、どのような商品を望んでいるのか。自店のちょっとしたこだわりを切り口に、酒だけではなく食品まで品揃えの幅を広げました。比較的粗利益率の高い商品群です。

2 販売方法の見直し

 商品構成の見直しと同時に販売方法の見直しを進めました。ポイントは以下の3点です。

(1)配達の強化
 酒屋さんの強みである配達を強化し、固定客を確保。

(2)予約注文
 旬の食材はすべて予約注文でロスを削減。

(3)お客様とのコミュニケーションの強化
 名刺、包装紙、POP、店舗イメージ等を統一し、お客様への情報発信を強化。

3 原点はお客様

 A酒店が成功したポイントは、地域のお客様をターゲットに、お客様視点による商品構成と販売方法の見直しを進めた点です。変革の原点は、「お客様」にあります。

(中野区中小企業診断士会 田中 一次)
 

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