強い想いと活動フィールドの明確化が起業の成否を決める

2013-02-24

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

周到な準備と綿密な事業計画:区の施策を活用した起業の例 

 起業に当たって、「これは儲かりそうだ」と、まずお金儲けをイメージする方が多いと思います。もちろん「儲け」は大事ですが、その前に2つのことを考えてください。 

1 事業の理念(事業を続けていく上での強い想い)

 「これは社会や人々にどういう面で貢献できるか」ということから導き出されるものです。なぜこんなことを言うかというと、社会や人々に受け入れられないものは長続きせず、結局淘汰されてしまうからなのです。

2 事業計画の前提となる事業領域(活動フィールド=誰に、何を、どのように、提供するか)

 これはターゲットとするお客様・そのお客様のニーズ・提供する差別化された商品や技術の3つです。これを詰めて始めて事業計画作成に進みますが、事業計画の策定や、資金調達ではぜひ、区の施策を活用されるようお勧めします。

 代表的な起業の例をご紹介しましょう。区内在住のSさん(男性33歳)はサラリーマン時代から起業を考えていました。外国旅行で見た「飲食とコミュニケーションの場」を日本でも提供していきたいと考えました(これが理念です)。事業領域は「1人・2人暮らしのコンビニ利用者層をターゲットに、その人たちの飲食を伴うコミュニケーションのニーズに対応し、西洋風の飲食とアットホームな雰囲気を提供する」と決めました。
 
 準備段階では、飲食業や業界の知識の蓄積、起業講座の受講、資金の貯蓄を行いました。続いて事業計画の素案を作成、区の「創業支援資金」を申し込み、商工相談員と面談をしました。商工相談員の助言で数回の計画修正を行い、実現性を高めました。これには区で運用している「商圏システム」が役に立ちました。ご自身も候補地の前で通行量調査をされたそうです。
 事業への想いが強いと、客観的な視点が不足する事が多くなりますが、区の制度を利用して専門化の意見を聞いてみる事は大変有効です。
 創業支援資金の承認も得られ、調理師もよい女性を採用できました。登記、開業届け、保健所への届け等、法的な手続きを経て、お店は順調にスタートしました。
 
 Sさんは「今後、実績と見比べ、事業計画を定期的に見直して行きたい」と話しています。

 創業者の様々なお悩みを解決するために、区は様々な支援制度を用意しています。ぜひ、区の相談窓口を利用して下さい。

 (中野区中小企業診断士会 谷口 糺)
 

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