人気カフェの「模倣する力」

2013-01-29

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

謙虚に学ぶ姿勢と即座にマネできる力は経営の強力なエンジン

001

 都内のあるカフェ。立地の良さもさることながら、中高年女性の絶大なる支持を集め、地域住民の憩いの場としての地位を確保しています。人気の秘密は、ずばり「真似する力」。学ぶべき情報を集め、迅速に対応する力がお客様の支持につながっています。

模倣力1「商品開発力」

 この店では、製菓部門で製造したケーキやプリンを、ショーケースいっぱいに並べ、値ごろ感のある価格で提供しています。フルーツたっぷりのロールケーキ、豆乳チーズケーキ、シフォンケーキ。本格的なケーキがドリンクとセットで400円前後。色とりどりのケーキの誘惑に勝てないお客様が続出するわけです。特筆すべきは、店と製菓部門連携による商品開発パワー。話題のケーキ屋さん、デパ地下で人気のデザート情報などを常に入手し、誰かが買ってきて試食。「こんな感じでやってみよう」と決まれば、早速試作して、あっという間に新商品が店に並ぶという仕組みです。
 背景にあるのは、これまでの10年の経験で培った製造技術。「こんなもの出せない?」「何とかやれそう」…自信があればこその新商品開発です。
 

模倣力2「サービス向上力」

 自店の問題点を知るために、競合店をチェック。違いを把握します。客層から考えて、どんな店づくりをしたら良いのか、どんな季節メニューがヒットするか、サービスの特徴をどのように打ち出したら良いか等々、常にお客様の立場でサービス向上を考えています。セルフサービスながら、料理は後からお持ちするケースが多いことに気づくと、店にプロの講師を招いて接客研修を実施。目指すサービスはホテルの接客サービスです。妥協はしません。
 

模倣力3「経営改善力」

 月間売上目標、年間売上目標を定め、その達成を目指しています。業種・業態を問わず、他社の成功事例に学び、経営改善に努めています。経営層初め、スタッフは年に数回、研修旅行に出かけ、良い店から貪欲に学び、自店の経営に活かしています。

 
 スタッフに共通するのは、旺盛な好奇心とフットワークの軽さ。「より良い店にしたい」という思いを持っているからこそ、行動が速いのですね。単に真似するといっても、明確な方針、ベースとなる力、向上したい意識がなければできないこと。「模倣力」は実力の証なのです。

(中野区中小企業診断士会 稲山 由美子)
 

Copyright(c) 2010 NPO法人 中野中小企業診断士会 All Rights Reserved.