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お店のファンをつくる顧客とのコミュニケーション

2012-05-22

※ 2010年8月4日に中野区HPに掲載され
た記事です。

A店の事例に見る失敗と成功

 店舗は顧客のために存在するというお客様主権の考え方は、異論のないところです。頭では分かっていることなのですが、実践することは意外と難しいことなのです。
 顧客のニーズに対応していくこと、すなわち市場対応が小売店には不可欠であり、その手段として店舗より働きかけるコミュニケーションが見直されています。
 このコミュニケーションのあり方をアメリカの心理学者が唱えた「ジョハリの窓」を参考に具体的に掘り下げてみます。
自分から見た自分、他人から見た自分を、それぞれ「気付いている」「気付いていない」という面から四つに分けて作られているのが「ジョハリの窓」です。自分も他人も知っている面を「開放の窓」と称し、他人は知っているけど自分は知らない面を「盲点の窓」、自分は知っているけど他人は知らない面を「秘密の窓」、自分も他人も気付いていない面を「未知な窓」としています。

 食料品全般を扱うA店はここ数年売上高の減少傾向に歯止めがかかりません。以前は当店で買い物をしてくれた固定客さえも、最近できた大型店に流れてしまったようです。
 そこで、最近は対抗意識から「特売」を毎月実施していますが、顧客増につながる結果も得られていません。小規模なお店が価格競争しても勝てるはずがないのです。
 そこで、上図の「窓」を「情報」に、「自分」を「自店」、「他人」を「顧客」に置き換えて考えてみました。

 A店の「特売」は“この商品以外、安い商品は当店にはありません!”と意思表示していることになり、それよりも“当店で買われるのが一番お得ですよ!”とアピールすべきなのです。
 具体的には、「最も楽しい情報がある」「何よりも使用してお得」「何といっても安心」「品質は間違いなし」「サービスは一番」「話題性がある」というような情報を積極的にPOP広告、商品説明をすべきです。店主だけが分っていても顧客には伝わらないのです。店主の考え方に共感してこそ、真のファンづくりが可能となり“歩く広告塔”となってくれるのです。

 下図に表示した通り「開放された情報」の面積を拡大する努力こそ大切なのですが、併せて顧客の希望や要求に耳を傾ける情報収集に心がけ、「気付いていない情報」の面積を縮小させること、同時に当店の特徴やこだわりを積極的にPRし「隠された情報」の面積も減らすことが目的となります。

 
自店も分かっており、顧客も知っている自店の情報である「開放された情報」の面積を拡大する努力が大切です。

 A店では、効果なき特売をやめて店主のこだわりを発信するように改善しました。店主自慢の“自然志向、健康志向”の商品揃えに近隣の主婦層の支持が高まったことは言うまでもありません。自店と顧客の情報の共有化がいかに大切であるかを示す事例です。

 (中野区中小企業診断士会 野村 潔

「オンリーワンの店づくり」を成功に導くポイント

2012-04-07

※ 2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

生花店の事例でみるSWOT分析を活用した独自性の発見と展開

売上不振に悩んでいる店こそ「持ち味を生かせる道」を考えましょう。特に小規模店では「独自性をどれだけ打ち出せるか」が重要な勝ち残り策なのです。小さくても力持ち。ちょっとスパイスのきいた特徴ある店づくりを始めてみませんか?

お店の独自性を発見して、オンリーワンの強みを発揮するにはどうすれば良いでしょうか?
中野区の幹線道路から少し入った所に立地し、宅配をメインに営業を展開するA生花店の事例をご紹介しましょう。
オンリーワンの店づくりをするには、まず、 自分のお店の強み・弱みはなにかを知ることです。さらに自己満足で終わらないためにも事業のチャンスやピンチの状態を知ることが大切です。それによって、自店の進むべき道が見えてきます。
A生花店では、以下のような表を作成して整理しました。この方法はSWOT分析といって事業戦略の方向性を考えるのに有効なツールです。

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SWOT分析の結果、この店は売上の伸び悩みの原因が販売促進などの営業力の弱さにあり、多くの顧客を逃していることがわかりました。ここで、整理した表の中で「機会」をとらえ、「脅威」を回避する為に「強み」を最大限に活かす方法を考えます。
A生花店では潜在顧客が多く存在する宅配による生花販売を強みとして付加価値の高い フラワーアレンジメントの宅配ネット販売にも進出し、商圏の枠を超えた販売拡大を目指して現在も健闘を続けています。また、お店ではフラワー教室も開催し、サロン的雰囲気でお客様にやすらぎを与える空間づくりも心がけています。

さあ、あなたのお店でも強み・弱みの分析をしてみてください。きっと今まで気づかなかった新たな発見により、お店のオリジナルティーを発揮する道がみえてくることでしょう。

(中野区中小企業診断士会  豊岡 来実

こだわり商品が店のファンを増やす「一店逸品」運動の効能

2012-04-06

※ 2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

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平成17年2月、都立家政商店街において「一店逸品」運動が開催されました。なかなかの盛況で商店街の活性化に一役買ったようです。
ところで「一店逸品」というのは商店街単位とは限らず、どのようなお店でも独自に取り組んで欲しいものです。筆者はどのような業態であっても必須の課題であると考えていますが、特に飲食店では大きな集客力を発揮するようです。

筆者の通っていた居酒屋風の和食店の事例を紹介します。格安の居酒屋チェーンに取り囲まれており、競合環境を考えれば、あえて出店するような場所ではありませんでした。しかしながらふたを開けてみると、 周囲のチェーン店を尻目に連日の繁盛振りです。
そのポイントはこの店の逸品にありました。それは店主の味へのこだわりが伝わる、魚の煮付けと西京漬けです。魚の煮付けはまず魚を煮付けてから冷蔵庫に一昼夜寝かしておきます。そしてそれを翌日以降客の注文時に加熱して提供しているのです。加熱には何か秘訣があるのでしょうが企業秘密ということで教えてもらえませんでした。知ってしまえば意外に簡単な事だとは思いますが、ちょっとした工夫をする事が他にない商品を生み出すのです。
一方の西京漬けも同じように漬けるのに2昼夜寝かしておくそうです。来店客はこれらの逸品が目当てで来店し、必ずこの2品のうちどちらか一品を注文します。特に女性客は西京漬けを必ずといってもよいほど注文するそうです。
この店では決してこれらのメニューをお勧め品や逸品として宣伝をしている訳ではありませんが、不思議と必ず注文されるのです。店主の言を借りると「味こそ何物にも変えがたいマーケティングである」といっています。店主の味へのこだわりが明確になっている言葉だと思います。

飲食店の事例を紹介しましたが、惣菜店・精肉店・生花店といった物販店でも同様のことが言えます。例えば、ある惣菜店では五穀米の弁当を逸品にしてファンの支持を得ているお店もあります。全てに共通するポイントは自分が提供している品物で何が自信を持って薦められるかです。言い換えるならば、自店でしか手に入れることの出来ない商品やサービスを提供できる商売へのこだわりを強く認識する事が大切なのです。

中野区中小企業診断士会 外池登志郎

飲食店繁盛の秘訣 ―こうすればお客様が増える

2012-04-05

※ 2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

1 飲食店繁盛のポイント

(1)しっかりした考え方

・お客様は誰なのか ・そのお客様にどういうメニューやサービスを提供するのか ・それをどのように提供するのか

(2)独自の味

飲食店ですから「味」が大切なことは言うまでもありません。この店でなければ味わえないという独自の「味」を提供することが求められます。それができれば多少立地が不便でも、お客様の方からわざわざ足を運んでくれます。

(3)心からのもてなし

飲食業はサービス業です。来店したお客様にどれだけ感動していただけるかが大事なことです。お客様の気持ちを察し、心のこもったもてなしが出来るかどうかです。気配り心配りの問題です。

(4)雰囲気づくり

お客様は食事をしながらそこの雰囲気を楽しみに来ます。前記の焼肉店は店頭から店内の装飾すべてを韓国風に統一しています。まるで韓国ソウルの焼肉店にいる感じです。

2 「なぜか」を考えてみてください

毎日の仕事に追われていると足元を振り返る余裕がなくなるものです。あなたのお店について少し考えてみてください。
(問)「なぜ当店にはお客様がきてくれないのか」
(答)・競争が激しいから ・店が古くなっているから ・値段が高いから などなどで魅力のない店になっている。
(対応策)それではこれを解決する方法を前記の1を参考に考えてみてください。

(中野区中小企業診断士会 榊原貞夫

総合衣料品小売業の売上アップを実現する秘策

2012-04-04

※ 2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

1.カジュアルな生活に対応した店づくり

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顧客の生活場面は様々に想定されます。フォーマルな場面、ビジネスの場面、レジャー・アウトドア生活の場面、カジュアルな生活場面等々。経営改善の第一歩は、どのような生活場面を想定して生活提案をしていくのか、これを明確にすることです。
店づくりを検討する際に重要なのは、顧客の商品に対する価値観を十分に踏まえることです。いまや消費の主力は第二次大戦後のベビーブーマーたちですが、彼らは生活体験が豊かで情報通、商品ニーズは繊細であり、品質と価格について厳しい評価をし、モノだけでなくサービスを重視する、といった価値観をもっています。このような価値観を踏まえて、カジュアルな生活場面を想定した店を目指すべきでしょう。

2.ファッショングッズ(婦人服)の鮮度アップ

鮮度は生鮮食品のみの専売特許ではありません。ファッショングッズこそ鮮度が欠かせません。いつ行っても同じ商品が並んでいるようでは、魅力のある店とはとても言えるものではありません。たちどころに来店客数の減少をきたすことになります。
鮮度アップのポイントの第一は、展示会での大量発注や居座り仕入れをやめ、出向き頻度仕入れに切り替え多品種を少量ずつ仕入れるなど、仕入れ方法を根本的に変えていくことです。第二は、売場での商品管理を徹底し、仕入れ後何日で見切りに踏み切るか、ガイドラインを決めて、鮮度のあるうちに現金化して新しい商品の仕入れ資金を生み出していくことです。結果、常に新しい商品で売場が埋まることになります。

3.プライスライン政策の戦略性

プライスライン政策は小売業にとってその店の個性を訴求する最高の戦略だといわれています。とくに婦人服のプライスラインの設定は、立地、対象顧客、商品構成などを総合的に勘案して慎重に決定する必要があります。

(中野区中小企業診断士会 岡田皓三

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