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地域密着経営に有効なチラシのポスト投げ入れと口コミ活用

2013-04-01

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

「見込み客にお店を知ってもらう効果的な販促方法」

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 新たに店舗を開業したり、従来の店舗で新しい商品やサービスを始めるときには、地域のお客様に、店の存在そのものや新しく始めた商品やサービスを知ってもらう必要があります。そのために効果のあった2つの事例を紹介します。

事例1:手作りチラシのポスト投げ入れ(ポスティング)

 店の告知にはふつう新聞の折込みチラシが行われますが、これは費用のわりに効果はあまり期待できません。目に触れられないまま、くずかごに直行することが多いからです。
 区内で長く高級紳士服の仕立てを行ってきたAさんは、関東一円にたくさんのお客様を持っていますが、自店の周辺には一人のお客様もいません。10年前に、紳士服の修理・リフォームで自分の技能を生かしたいと考え、周辺の住居のポストに手作りのチラシの投げ入れを始めました。
 そのやり方がユニークです。中野区の地図をもとに、自店の周辺を12に区分し、月に1回1つの区分地域の住居のポストに手作りのチラシを投入することにしました。1年経つと周辺地域すべての配布が終わります。限定された地域を月に1回の配布ですから、丁寧にしかも挫折せずに続けられます。これを何年も繰り返し行った結果、現在では、紳士服の修理・リフォームの固定客が着実に増加し、その関連の売上は全体の約半分を占めるに至っています。
 ポスティングお断りのマンションなどもあり、トラブルを起こさない配慮は不可欠ですが、特長のある商品やサービスを持っているお店にとっては、きわめて有効な方策です。

事例2:『ご紹介カード』による口コミの活用

 固定客の確保とともに新規の客をいかに獲得するかは、すべての店の課題です。そのために様々な販売促進の手段が講じられますが、特長のある商品やサービスを持つ店にとっては、その商品、サービスに感動したお客様の口コミによる紹介が最も効果があります。
 しかしお客様がいつも進んで紹介してくれるとは限りません。数年前創業した飲食店(パスタ専門店)では、開業と同時に『ご紹介カード』を導入しました。名刺大のカードに、表にはご紹介者名の欄と「お知り合いをご紹介下さい、その節はドリンクなどをサービスします」の文面、裏には分かりやすい店の地図を記載し、お客様がレジを終了したときによろしくお願いしますと渡すものです。
 サービスに特長のある美容院や飲食店などが、新規客の獲得に効果をあげていますので、このお店でも間もなく効果の出てくることが期待されます。口コミはお客様の好意を待つだけでなく、進んで行ってくれる仕組みをつくることも大切です。

(中野区中小企業診断士会  古屋 実)
 

顧客満足経営の徹底が商売繁盛の秘訣

2013-04-01

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

顧客満足経営のための3ステップ

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 顧客を知ることが商売の原理原則であることは、既にご存知の事でしょう。小売業、サービス業を始め、どの業界であれ、本当の競争相手は顧客であると云われています。顧客との戦いに勝ってこそ、勝利の美酒が味わえるのです。孫子の兵法でも「戦いに勝つには、敵を知ること」と教えています。
 大型店もチェーン店も「顧客を知り、本当のサービスによって、固定化へ」と、あらゆる手段を労して生き残りに懸命になっているのが昨今です。厳しい競争環境の中で勝ち残るためには、顧客のハートを射止める感動のサービスが重要になります。そこで、「顧客を知ることの大切さ」を改めて振り返り、顧客満足経営に至るための3ステップを考えてみましょう。

ステップ1:「顧客からの発想」が効果的販促の出発点。顧客を知る、更に知る、深く知る。

 時代は変化しており、何もしない店は生き残れません。考え方を変えてみましょう。貴方の店は、「顧客のためにある」と発想の転換をしてみてください。迷ったり、悩んだときは、そのことを思い出して「顧客からの発想」で店の販売促進手段を考えてみましょう。良い答えが見つかるものです。
 
 面倒なことでも、顧客の購買行動の変化をありのままに見つめて、そこから店のあり方を考えていくことが大切です。一体、当店の顧客はどのような人々で、固定客は何割ぐらいか、などがある程度整理できれば、次の手だてが考えられるのです。更に、顧客との会話のポイントも忘れないうちにメモして記憶し、リップサービスに活用することで心が通い固定客化の一歩となります。
 
 商売の原則といえば、売り方のテクニックとして商圏の把握、品揃え方法といったものと、属人的なテクニックの売り方や根性・心構えといったものが直ぐに思い浮かびます。しかし、最も大切なのは、「顧客を知ること」なのです。顧客を知ることが商売の原点であり、品揃えもサービスの提供も、売場環境づくりも原点を正確に捉えていれば、あとは商売の努力次第で繁盛店へとすばらしい変化をとげられるでしょう。

ステップ2:商圏の姿を把握し、顧客を絞り込む。○○さんのためのお店になること。

 商圏の本当の姿を把握できているでしょうか。「勘」や「感じ」からではなく、顧客を知る努力が顧客名簿となって、商圏把握の土台となります。「近距離なのに、なぜ来てくれないのか」の疑問は、より具体的な販売促進策の模索へと、一方、「よく来てくれる町」が分かれば、より深く耕すことへの販売方法を一生懸命に考え、より多くの顧客の掘り起こしの努力は、お店の繁栄に結びつくことになるのです。常にお客様が求めるものを探し続ける姿勢が、商圏把握の第一歩なのです。

 大型店でも客層をある程度選択して、商品の差別化戦略を採る時代になりました。価値観が多様化し、すべての顧客に満足を与えることは不可能といえます。逆に発想すれば、顧客を絞り込むことで、自ずから商品を絞り込むことが可能になってくるのです。例えば、用品店で、35歳~50歳まで程度の女性に顧客層を絞り込めた場合、この年代層が購入するであろう商品の品揃えに集中出来ることになります。つまり、対象となる層の顧客にとっては商品選択の幅が広がり、欲しい商品を購買できる機会が多くなるということです。「商品の絞り込み」は、品数を減らすことを意味するのではなく、当店の顧客にミートする商品群を十分に品揃えすることなのです。

ステップ3:顧客満足度経営の徹底で顧客を固定化する。お客もスタッフもお店のファンに。

 顧客の固定化率を高めることに成功することが経営の基本です。固定客はお店の財産です。引っ越しその他の理由で、固定客は年々目減りするものです。固定客づくりは日々の努力の結果の成果です。 顧客の立場、視点でものを考え、商いをすることが、顧客満足経営(one to one marketing)そのものなのです。それが、顧客の固定化に結びついていく繁盛店造りのポイントといえます。

 「顧客を知ることが商売の原理原則」とするならば、もう一方の旗頭は「従業員満足経営環境の構築」といえます。この両者の努力が相伴って顧客満足経営への実現となり、繁盛店への道を歩むことに結びつくものです。顧客を店のファンにするような素晴らしいサービスは、そのお店で働けて幸せと考えるスタッフであってこそ提供できるものです。「顧客満足」と「従業員満足」の両輪を回しながら顧客満足度経営を徹底する事で商売は繁栄するのです。

(中野区中小企業診断士会 新谷安良)

 

強い想いと活動フィールドの明確化が起業の成否を決める

2013-02-24

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

周到な準備と綿密な事業計画:区の施策を活用した起業の例 

 起業に当たって、「これは儲かりそうだ」と、まずお金儲けをイメージする方が多いと思います。もちろん「儲け」は大事ですが、その前に2つのことを考えてください。 

1 事業の理念(事業を続けていく上での強い想い)

 「これは社会や人々にどういう面で貢献できるか」ということから導き出されるものです。なぜこんなことを言うかというと、社会や人々に受け入れられないものは長続きせず、結局淘汰されてしまうからなのです。

2 事業計画の前提となる事業領域(活動フィールド=誰に、何を、どのように、提供するか)

 これはターゲットとするお客様・そのお客様のニーズ・提供する差別化された商品や技術の3つです。これを詰めて始めて事業計画作成に進みますが、事業計画の策定や、資金調達ではぜひ、区の施策を活用されるようお勧めします。

 代表的な起業の例をご紹介しましょう。区内在住のSさん(男性33歳)はサラリーマン時代から起業を考えていました。外国旅行で見た「飲食とコミュニケーションの場」を日本でも提供していきたいと考えました(これが理念です)。事業領域は「1人・2人暮らしのコンビニ利用者層をターゲットに、その人たちの飲食を伴うコミュニケーションのニーズに対応し、西洋風の飲食とアットホームな雰囲気を提供する」と決めました。
 
 準備段階では、飲食業や業界の知識の蓄積、起業講座の受講、資金の貯蓄を行いました。続いて事業計画の素案を作成、区の「創業支援資金」を申し込み、商工相談員と面談をしました。商工相談員の助言で数回の計画修正を行い、実現性を高めました。これには区で運用している「商圏システム」が役に立ちました。ご自身も候補地の前で通行量調査をされたそうです。
 事業への想いが強いと、客観的な視点が不足する事が多くなりますが、区の制度を利用して専門化の意見を聞いてみる事は大変有効です。
 創業支援資金の承認も得られ、調理師もよい女性を採用できました。登記、開業届け、保健所への届け等、法的な手続きを経て、お店は順調にスタートしました。
 
 Sさんは「今後、実績と見比べ、事業計画を定期的に見直して行きたい」と話しています。

 創業者の様々なお悩みを解決するために、区は様々な支援制度を用意しています。ぜひ、区の相談窓口を利用して下さい。

 (中野区中小企業診断士会 谷口 糺)
 

地域密着型酒販店の粗利益率アップの秘訣

2013-02-24

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

変革の原点は「お客様」

 A酒店は、店主夫婦と後継者の子息の3人で営んでいる酒屋さんです。売上高は、9,000万円、粗利益率は20%を確保しています。頑張っている酒屋さんといえるでしょう。A酒店は、子息が後を継ぐ意思表示をしてくれたのを契機に、親子3人で生き残る酒屋を目指して、業態の転換を進めてきました。目指したのは、「地域密着型の酒専門店」です。

1 商品構成の見直し

 ビールの価格競争の進展で、酒屋さんの粗利益率は低下しています。A酒店は、ビールの値引き販売をしていては、経営が成り立たないと判断し、ビールの値引き販売はやめ、定価販売に切り替えました。当然、ビールの売上は激減しますので、それに替わる商品を地道に育てることに取り組みました。具体的には以下の3商品群を強化しました。

(1)地元清酒と乙類焼酎
 酒専門店として、少しこだわりを持った普段飲んでいただく酒を中心に品揃えを強化。

(2)こだわりの食品
 専門店として、酒だけを扱うのではなく、菓子類から調味料、レトルト食品まで、安全・品質にこだわりを持った商品を集め、こだわり食品コーナーを設置。

(3)旬の食材
 季節の果物を中心に旬の食材を、その季節限定での扱い。
 
 ターゲットとする地域のお客様が、どのような商品を望んでいるのか。自店のちょっとしたこだわりを切り口に、酒だけではなく食品まで品揃えの幅を広げました。比較的粗利益率の高い商品群です。

2 販売方法の見直し

 商品構成の見直しと同時に販売方法の見直しを進めました。ポイントは以下の3点です。

(1)配達の強化
 酒屋さんの強みである配達を強化し、固定客を確保。

(2)予約注文
 旬の食材はすべて予約注文でロスを削減。

(3)お客様とのコミュニケーションの強化
 名刺、包装紙、POP、店舗イメージ等を統一し、お客様への情報発信を強化。

3 原点はお客様

 A酒店が成功したポイントは、地域のお客様をターゲットに、お客様視点による商品構成と販売方法の見直しを進めた点です。変革の原点は、「お客様」にあります。

(中野区中小企業診断士会 田中 一次)
 

人気カフェの「模倣する力」

2013-01-29

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

謙虚に学ぶ姿勢と即座にマネできる力は経営の強力なエンジン

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 都内のあるカフェ。立地の良さもさることながら、中高年女性の絶大なる支持を集め、地域住民の憩いの場としての地位を確保しています。人気の秘密は、ずばり「真似する力」。学ぶべき情報を集め、迅速に対応する力がお客様の支持につながっています。

模倣力1「商品開発力」

 この店では、製菓部門で製造したケーキやプリンを、ショーケースいっぱいに並べ、値ごろ感のある価格で提供しています。フルーツたっぷりのロールケーキ、豆乳チーズケーキ、シフォンケーキ。本格的なケーキがドリンクとセットで400円前後。色とりどりのケーキの誘惑に勝てないお客様が続出するわけです。特筆すべきは、店と製菓部門連携による商品開発パワー。話題のケーキ屋さん、デパ地下で人気のデザート情報などを常に入手し、誰かが買ってきて試食。「こんな感じでやってみよう」と決まれば、早速試作して、あっという間に新商品が店に並ぶという仕組みです。
 背景にあるのは、これまでの10年の経験で培った製造技術。「こんなもの出せない?」「何とかやれそう」…自信があればこその新商品開発です。
 

模倣力2「サービス向上力」

 自店の問題点を知るために、競合店をチェック。違いを把握します。客層から考えて、どんな店づくりをしたら良いのか、どんな季節メニューがヒットするか、サービスの特徴をどのように打ち出したら良いか等々、常にお客様の立場でサービス向上を考えています。セルフサービスながら、料理は後からお持ちするケースが多いことに気づくと、店にプロの講師を招いて接客研修を実施。目指すサービスはホテルの接客サービスです。妥協はしません。
 

模倣力3「経営改善力」

 月間売上目標、年間売上目標を定め、その達成を目指しています。業種・業態を問わず、他社の成功事例に学び、経営改善に努めています。経営層初め、スタッフは年に数回、研修旅行に出かけ、良い店から貪欲に学び、自店の経営に活かしています。

 
 スタッフに共通するのは、旺盛な好奇心とフットワークの軽さ。「より良い店にしたい」という思いを持っているからこそ、行動が速いのですね。単に真似するといっても、明確な方針、ベースとなる力、向上したい意識がなければできないこと。「模倣力」は実力の証なのです。

(中野区中小企業診断士会 稲山 由美子)
 

経営の三要素は企業成功のキーファクター

2013-01-29

基本をおさえて円滑に事業を立ち上げよう

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 大学で法律を専攻し就職したAさん。様々な経験を積む中で、ある時期には自分探しで悩みました。考え抜いた末、専門の法律を活かして行政書士として出直そうと転職を決断、資格を取得しました。
 その後、行政書士として独立したAさんは経営の三要素をしっかりとおさえていたので、事業は順調に拡大して目標をクリアする事ができました。

 Aさんの起業に至る経緯を追ってみましょう。
 
 Aさんは資格取得後、3年間、先輩事務所での見習期間を経て独立する決意を固めました。折から介護保険法の施行があり、この福祉介護分野の諸手続に着目。新規参入可能と判断して、自分の専門分野にと決めました。
 更に事業展開について、(1)通常手続業務で生計費を稼ぐ(2)福祉介護手続積極開拓(3)会社設立独立支援の相談とセミナー開催というトライアングル作戦を宣言しました。この3面作戦により独立後3年でオフィス規模3倍、収益3倍の達成を見込むという目標を立て、見事クリアしたのです。現在は、公的機関の経営アドバイザーやセミナー講師としても活躍しています。

 経営の三要素とは、「ヒト」「モノ」「カネ」の事ですが、起業に絞って見てみましょう。
 

1.「ヒト」では、本人の起業・独立の動機が大切

 動機はキッカケとは違い、独立して何が何でもやり抜くのだという筋道の通った意思。だから、金融機関でも動機を最重要視するのです。 

2.「モノ」では、「何を何処でどの様に」という仕事の実態が問題

 既存の同業者の中で一旗揚げるには、お客様のニーズに的確に適応した独特の手法を保持している筈です。この実態の詳細を本人の脳裏に明確にイメージ出来なければなりません。

3.「カネ」では、元手と信用力と算盤勘定(事業計画)の3組が大切

 「モノ」で描いたイメージと事業計画とが合体すると経営ビジョンとなり、ここで初めてGOサインが出せるのです。

 Aさんの例で見れば、下記の通りになります。
「ヒト」先輩事務所での見習い期間を経て独立する決意を固めた(確たる動機)
「モノ」福祉介護分野を専門にした(独特の手法=他社との差別化)
「カネ」トライアングル作戦を宣言(経営ビジョン)

 Aさんによれば、「ヒト」では人脈と出会い、「モノ」ではホームページの効率的運用も業容拡大の大きな原動力になったそうです。

 経営の三要素は基本中の基本ですが、この基本をしっかりとおさえているケースは意外と少ないものです。この機会にもう一度ご自身の「経営の三要素」を見直して、円滑に事業を立ち上げて頂きたいと思います。

 (中野区中小企業診断士会 太田 龍雄)
 

建築関連業サバイバルの方途

2012-12-24

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

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 中小零細がしのぎを削る建設業界。しっかりとした戦略をもって勝ち残るサバイバルの時代に突入しています。建設業4社の事例から、勝ち残るポイントをお伝えします。
 

1.品質・コスト・納期へのこだわり 自社の特徴を打ち出そう

 A社は区内でも古参の材木屋で、自ら材木を担ぎ手でさわる現場第一主義がモットー。海外での加工にも進出、ネット活用など斬新な発想で各種木材製品を提供しています。
(ポイント)
 特長のない企業は市場競争力に欠けます。同業他社との差別化ポイントをはっきりさせましょう。まずは、自社の強みと弱さを検討し認識することが必要です。
 

2.竣工した時から次の営業を開始 お客を営業マンにしよう

 B社は営業マンなしの工務店。社長自筆の挨拶状に花の種を添えて贈るなど、顧客とのつながりを常に大切にしていて、年間受注の多くは彼らからの紹介によるとのことです。
(ポイント)
 OB客は会社にとって大切な営業資産です。しっかりフォローアップしたいものです。竣工の翌日から新しい営業が始まるのだ、という意識を社内に徹底しましょう。
 

3.コミュニケーションが会社の基本 少数精鋭部隊を作ろう

 C社は地場のリフォーム店。営業・見積・現場など仕事を分担させず、一人の社員が一貫して担当します。職人を含む余暇の交流活動も盛んで、全員が家族的な雰囲気です。
(ポイント)
 責任と権限をはっきりさせ、ホウ・レン・ソウを徹底すれば、少人数で効率的に活動できる体制になります。「私の会社」ではなく、「みんなの会社」を目指しましょう。
 

4.余力のあるうちに方向転換を検討 環境変化を読んで投資しよう

 D社は建築設計業から建築模型製作に転向し、他社に先駆けて作業の機械化を進め従業員を訓練し、高度の品質と親切な顧客対応により、年々着実に売上高を増やしています。
(ポイント)
 どんな環境の悪化にも耐えられる万能な会社はありません。先行きの経営状況を判断して、ある時は果敢に舵をきることもやむを得ませんが、体力が弱まっていては何もできません。余力のあるうちに行動しましょう。

(中野区中小企業診断士会  大河内 隆之)

 

飲食サービス業におけるカラーマーケティングの実践

2012-12-24

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

「色」で売上をどう伸ばすか

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 カラーマーケティングは、ひらたく言えば「色」で売上をどう伸ばすかということです。1920年代のアメリカでパーカーが赤の万年筆を、GMがカラー車を販売して大成功をおさめたのが始まりです。その後理論の研究や、実験による仮説の検証・ルール化が進み今日に至っています。
 今回は「飲食サービス業」の理論や実験に基づく色による売上アップの具体的な方法をいくつか挙げてみました。想定している顧客層や店舗が位置する地域、扱っている商品や価格帯によって様々な活用が考えられますので参考にして下さい。
 

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1 レストランのテーブルクロスは赤系にしよう

 暖色系(赤・橙・黄など)は食欲を増進させ、精神を興奮させ楽しい気分にさせます。従って、レストランのテーブルクロスは赤系だと料理を美味しく感じ、会話も盛り上がり追加のオーダーも増えます。スカイブルー等青系にするとその逆になります。

2 ラーメン屋さんの内装・外装は暖色系にしよう

 アツアツのスープで食べると美味しく、体温が上がるラーメン店は内装を暖色系にしましょう。暖色と寒色の「体感温度」には3度の温度差があるという実験結果があります。

3 ファーストフードや喫茶店など回転率を上げて売上を稼ぐ店の内装は暖色系にしよう

 暖色系の内装では、交感神経を刺激して、実際に経過した時間より長く経ったと感じ、「満足のうちに帰っていただく」ことで売上をアップします。

4 料理の盛り付けには反対色をうまく使おう

 反対色とは虹の7色を環状に並べたとき反対側に位置する色同士で赤と緑などです。
反対色はお互いに相手(食べ物同士、食べ物と食器)を引き立て料理を美味しくします。

5 飲食店の照明には間接照明を取り入れるとともに調光機をつけよう

 間接照明(反射光で明るさを取る方法)は陰影の変化のあるメリハリの利いたお店にします。また調光機(照度調整機)により光の環境をコントロールすることも大切です。

6 ショウケースのロウの食品サンプルの背景は黒などの濃い色にしよう

 背景の色を黒などの色で暗くすると、中の色をより鮮やかにより魅力的に見せる効果があります(色彩心理学のべゾルト効果)。

※色相関と暖色・寒色

 色相関とは、右上(下図)のように赤・橙・緑・青・紫を六角形に配置したものです(4で述べられているのはこの輪の事です)。
赤・橙・黄は「暖色」、緑・青・紫は「寒色」と呼ばれ、同様の効果を持つ色をまとめて暖色系・寒色系と言っています。

暖色系:赤・橙・黄・ピンク・茶色など暖かみを感じる色
寒色系:緑・青・紫・白・黒・グレーなど冷たさを感じる色

(中野区中小企業診断士会 枝廣 安人)

お客さまを快くお迎えし、満足していただく接客を

2012-11-23

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

K洋菓子店が実行した販売員への接客心得教育から

 

 お客様がお店を気に入って、何回も来店してくれるようになるには、従業員の接客が鍵になります。そのために、お客様の買い物に対する気持ちの移り変わりの流れを示した『顧客心理過程の8段階』を十分に理解し、接客することが大切なポイントになります。
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 この顧客心理過程に着目して販売員の教育をしたK洋菓子店の例を見てみましょう。

 K洋菓子店では、次の5点を中心に訓練を行ないました。

 

1 接客に大切なアプローチのタイミング

 アプローチ(お客様に近づいて声をかける)は、お客様が店頭の商品をちらっと見る「注目」段階を経て、その商品(例えばケーキ)に惹かれて、もっとよく見たいと足を止め、店内に入ってみようとされる「興味」段階から、自分がその商品を使っている(例えばケーキを味わっている)場を「連想」し始める段階に移る時が最適とされています。
 

2 アプローチに際しての接客マナー

 アプローチのタイミングは、より高額な商品(例えば洋装品)ではタイミングを遅らせ、低額商品(例えばケーキ)では、早めに対応することも心がけるべきでしょう。
 この際「いらっしゃいませ」のご挨拶とともに、お出迎えのお辞儀を添えることが大切になります(お辞儀の角度は30度)。この角度は、お客様のお買い物への関心度(表情や視線)を読み取る上でも重要なポイントになります。
 

3 お買い物されるお客様へのフォロー

 お客様の商品に関する関心度を高め、「買っちゃおうかな・・・」の気持ちが動き始める「欲望」段階から、「まてよ、もっといい商品(例えばデコレーション・ケーキ)があるかも・・・」の「比較検討」段階までに、商品提示と商品知識を披露し、お客様の「よし、これに決めた」という「信頼」段階に導くように接客対応に努めることが求められます。
 

4 お買い上げ時の留意点

 
 お客様が「これをください」と購買決定に踏み切られる時点の「行動」段階では、お客様に対して、「はい、かしこまりました」「商品(例えばケーキ)をお包みいたしますので、少々お待ちくださいませ」との確認とともに、感謝を込めて頭を下げてください(お辞儀の角度は15度)。
 その後は、商品の包装を手際よく行い、代金の授受に移ることになります。この際には、金銭授受の留意点(商品代金の確認、お釣り銭の確認)を確実に実行することが大切な要件になります。

5 お買い物を終えたお客様の心を込めたお見送り

 『お見送り3メートル』という言葉があります。数字にはそれほどの根拠はありませんが、お客様がお帰りになるとき、感謝の気持ちで後ろ姿をお見送りするとの意味が込められています。お客様に「ありがとうございました」「また、どうぞお越しくださいませ」の言葉とともに、お客様の後ろ姿に、頭を下げてお見送りをいたしましょう(お辞儀の角度は45度)。
 「いいものを買ってよかった」「お店は私に対して気持ちのいい応対をしてくれた」という買い物商品やお店に対する「満足」の気持ちを持ってお客様が店を離れられる時こそ、商売人にとって至福の時ではないでしょうか。

 K洋菓子店では、気持ちのよい接客でリピート客が増えているようです。

 
 (中野区中小企業診断士会 宇佐美 昭司)

社員のやる気を引き出すコミュニケーション

2012-11-23

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。
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 企業内のコミュニケーション、情報の共有化などはなかなか難しいものです。ましてや事業所が2個所、3個所と増えてくればなおさらです。
 今回はこれらコミュニケーションの問題をうまく解決している会社をご紹介します。

 A社は新宿区の倉庫会社で新宿区の本社のほか川口、足立区などに3つの倉庫を持っています。従業員はパートさんを含めて50名。IT環境を整備して「全社共通の掲示板」を持っています。ここにみんなが情報を掲示してうまくコミュニケーションをとっています。
 

1 社長の日報

 社長が朝礼に話したことや気付いたことを毎日日報で掲示する。
 

2 営業部の日報

 営業活動で得た情報を掲示する。例えばお客様からほめられた話、苦情、開拓中のお客様の話、など。
 

3 倉庫部門(A倉庫)

 昨日の活動状況。うまくいった話。現在困っている話。
 

4 倉庫部門(B、C倉庫)

 本日の社員、パートさんの元気情報。
 

5 新入社員の日報

 新入社員は入社から1年間日報を掲示します。

 これらの日報は社員全員が見ていて、いろいろと書き込みを加えていきます。
(例えば)
(1)A倉庫で「お客様の出荷依頼時間が遅く、ぎりぎり出荷で苦労する話」
   →「営業部から助け舟」
(2)「風邪がはやって苦労する話」
   →「今年の風邪はこんな薬が良い」の書き込み
(3)新入社員の日報には「仕事が辛い」
   →「先輩社員から激励の書き込み」
(4)仕事がうまくいったとき
   →「社長からお褒めの言葉」

 これらの情報から社長は手早く気になる現場に入って問題の解決に動き、モチベーションの向上に注力します。このように情報に対するリアクションがあるので、社員全員が情報を共有、全社一丸の心構えが進みます。A社では、この情報制度が始まってもう5年以上経っています。ITの初期投資などお金がかりますがそれを上回る大きな効果があるのです。

 A社のように、ITに投資をしなくても工夫次第で情報の共有化やコミュニケーションの活発化を図ることは可能です。そしてコミュニケーションを活性化する事により社員のやる気を引き出す事が可能になるのです。A社の事例を参考にして取り組んでみて下さい。

(中野区中小企業診断士会 岩田 頼次郎)

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