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5S活動で店舗・職場の魅力を高める

2012-10-27

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。
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 5S活動は企業経営の基本であり、業績が上がらない時にコストを掛けずに試せる身近な手法です。会社に活力を与える5S活動について、事例・ポイント・効果の視点で考えてみましょう。

 

1 「もの造り」「顧客サービス」は5S活動から

 私の元上司が、ある製造業の赤字会社社長に就任しました。着任するとすぐに社員に対して「会社を綺麗にしよう」と宣言し、いわゆる「5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとって5S)」に取り組みました。当初はあまり目に見えた成果は得られませんでしたが、2年目に入ったころから活動が盛り上がり、会社全体が見違えるように綺麗になりました。それとともに、これまで赤字であった会社が見事に黒字転換したのです。
 一方、流通・サービス業においても、セブンイレブンの鈴木会長が「商売の基本は品揃え・鮮度管理・クリンリネス・フレンドリーサービスに有り」と述べ、とりわけクリンリネス(清潔)の大切さを強調されています。
 つまり、業種を問わず店舗・職場の魅力を高める手法として5S活動は大いに役立つものであると言えます。

2 5Sのポイント

「整理」―右の物を左に置き直すことではなく、要らないものと要るものを区分し、要らないものを処分することです。

「整頓」―バックヤードの在庫はお客様から注文を受けたとき、すぐに出せるように置き方を工夫するなど、必要なものを所定の場所にきちんとおくことです。

「清掃」―いうまでもなく身の回りのものや店をきれいに掃除することです。

「清潔」―上記の「整理」「整頓」「清掃」の3Sを常に繰り返し実行し、いつ誰が見ても不快感を与えぬように綺麗さを保つことです。

「躾」・・・・お客様への挨拶、服装、ルールを守ること。ただ躾だけを口うるさく言ってもなかなか徹底しませんが、上記4Sを実行していく過程で「躾」をすると無理なく達成できます。

3 5S活動は人を育てる

 5S活動は「もの」を対象にした活動から始まりますが、整理・整頓・清掃・清潔・躾を継続的に実践する過程で、「実践している人の心の変革→変革した人の行動の変化→それを見た周囲の人が感動」という正の循環が生じます。
 冒頭で述べた会社も5S活動が好循環をもたらし、社員の「心の変革」で大きな成果を生んだのです。業績が停滞したとき、伸ばしたいとき、まずは5S活動に取り組まれては如何でしょうか。

(中野区中小企業診断士会 井上昌治)

「こだわり客」を集めて新創業に成功する10か条

2012-10-27

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

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 ワインレストラン、草レースを主催するイベント会社、惣菜をネットで売りたい食品会社を得意先とするフードコンサルタント等、これまであまり類を見ないビジネスで創業したい方の相談を受けることが増えてきました。これらは、興味を持ってくれる特定の顧客のみをターゲットにする「この指とまれ型」ビジネスといえます。このような創業の形は世の中が成熟社会になればなるほど今後増えてくるでしょう。
 創業者の皆さんは、それぞれに意欲に溢れていますが、一方では新規創業後の成功率が低いという現実も否定できません。そこで創業のリスクを減らし成功するための企画立案業務を「成功する10か条」としてまとめました。

1 イメージの明確化

 やりたい商売は、誰のどのような生活に役立つ商売なのか具体的に書き出し、利用するお客さんはどこにいて、どのような店選びをする人たちかイメージを明確にする。

2 人をひきつけられるか検討

 そのようなお客さんを引き付ける訴求ポイント「この指とまれ」は魅力的か考える。

3 ビジネスプラン作成

 こうありたいという創業時から中期のビジネスプランを作成する。創業資金、運転資金とそれらの資金調達計画(自己資金と創業融資計画)を作る、なかでも借入金返済に必要な売上計画、利益計画を達成する条件を明らかにする。

4 達成可能か検討

 達成するための条件がクリアーできる可能性はどうかチェックする。例えばワインレストランなら出店予定店舗前の通行客層と時間帯別人数、あるいは駅の乗降客、商圏内の年代別人口などから、期待できる入店客数や客単価はどうか調べる。イベント会社やフードコンサルタントなら現在関係のある会員数や得意先数やその内容をリストアップし、期待できる客数、客単価を書き上げそれらが達成できるか自問自答したり、関係者の意見を求める。

5 ビジネスプランのチェック

 「この指とまれ型」のビジネスでは、こだわり客を育てるにはそれなりの時間がかかる。それに耐えられるビジネスプランかチェックする。

6 人脈・経験チェック

 商品企画、商品仕入れ、集客などマーケティング活動に生かせる自身の人脈や経験はどのようなものがあるか書き出しチェックする。

7 同様ビジネスのチェック

 同じような客層を相手とするビジネスはあるか、あればその実態はどうか研究する。

8 集客可能性のチェック

 これらを検討し「こだわり客」を集められる可能性はどうか判断する。

9 再検討を考慮

 もし難しいという判断になったら、条件を変えてビジネスプランを作成する。例えば、ワインレストランなら出店候補地を変更する。あるいは立地を予見としてメニュー構成などを見直すなど。

10 計画の追究

 以上のように自身の想いを数値化しながら、お客さん研究をして創業計画を実現可能なものまで磨き上げる。

(中野区中小企業診断士会 杉浦肇)
 

フランチャイズで起業する三つの勘違い

2012-09-22

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

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 フランチャイズは、既に本部がビジネスの仕組みを構築しているので、事業を多角化したり、起業したりする際に有効な手段の一つです。事業を短期間で軌道に載せられる点で、ゼロから起業する場合に比べ特に優れているといえます。しかし、安易にフランチャイズを選択すると成功どころか失意のどん底に落ちる可能性もあります。
 
 某大手IT企業を早期退職したAさんは、退職金を利用して、あるサービス業のフランチャイズに加盟しました。本部の担当者が「絶対に儲かります」「募集枠がもうすぐ埋まります」というので、始めたのですが殆どお客がつきません。しかし、本部がなんとかしてくれると思い、特に手は打ちませんでした。手をこまねいているうちに、想定していた資金も使い切ってしまいました。焦る気もちは募りますが、本部はなにも支援してくれません。改めて契約書を確認してみると、本部はAさんが期待していた支援はなにもしてくれない事がわかりました。どうすれば良いのか、Aさんは考え込んでしまいました。
 Aさんは何故こんな事になってしまったのでしょう。それは、基本的な部分で大きな勘違いをしていた事が原因なのです。一般にも良くある三つの勘違いにとらわれないよう注意が必要です。
 

勘違い1 フランチャイズに加盟すれば楽をして儲けられる

 フランチャイズに加盟するときに「楽して儲けられる」と考える人が多いです。ローリスクであればローリターンである事は、普段生活をしている中でも当たり前に認識されている事を再認識しておく事が重要です。
 

勘違い2 うまく行かなくても本部がなんとかしてくれる

 サラリーマン時代のように会社に所属して頑張れば安定した収入が保証されると考えていると、Aさんのように困る事になります。あくまでも事業を行うのはオーナーである自分自身であるという認識が重要です。
 

勘違い3 簡単に解約できる

 
 問題があったり、ノウハウを習得したらすぐ解約できると考えている人も多いです。ところが、事業者対事業者の関係なので決して保護されません。解約すれば、違約金が取られる厳しい世界なのです。自分が経営者になるのだという正しい認識が重要です。

 フランチャイズに加盟する場合でも、ゼロから起業する場合と同様に慎重な検討が必要です。あくまでも、事業を行うのはオーナーである自分である事を強く認識し、予め想定できるリスクは回避するよう努力が必要なのです。悩んだときは区の相談窓口などを積極的に活用しましょう。
 フランチャイズ加盟だけで上場するような企業もあります。フランチャイズ・ビジネスをうまく活用して、是非とも成功オーナーの仲間入りをしてください。

(中野区中小企業診断士会 鈴木 佳文)
 

サービス業の起業成功の秘訣

2012-09-22

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

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 経済のサービス化といわれるように、有形のモノを扱う物販の業界や飲食店においてもサービスによる付加価値で差別化をはかる時代になりました。まして、目に見えない無形の商品であるサービスを販売するサービス業では、オンリーワンの商品を開発してその商品の品質を高め大きな市場を獲得していくことが、勝ち残りの絶対条件です。

 
 中野区で起業したA社は、海外旅行を取り扱う旅行業者です。現在、A社の業績は、売上利益とも当初の計画を大きく上回りたいへん順調に推移しています。そこで、A社の事例をもとにして、サービス業の起業を成功に導く秘訣を考えてみましょう。
 

1 経験・資産の活用

 社長のYさんは起業前から海外勤務や旅行業界勤務などの経験を積んでいた
 
 起業には、ある程度のリスクが伴います。まずはこれまでの経験を活かして同一業界や類似の業種で起業することが、より安全で確実な方法です。もちろん未経験の新しい分野へ挑戦する起業もありますが、やはり現在持っている経験や資産は最大限に活かすべきです。Yさんの場合は、豊富な業界経験に加えて業界勤務のころに得た貴重な人脈がたいへん大きな資産になっています。
 

2 ターゲットの絞り込み

 マーケティングはターゲットを明確に絞り込んで行なっている
 
 海外旅行には、地域、目的、期間などにより、さまざまな種類があります。そんななかで、A社の商品は、地域は限定、目的もほとんど単一目的に絞り込んでいます。目的をもった見込み客にとっては、わかりやすく選択しやすい商品であり、魅力的な商品になっています。その結果、個人顧客と企業団体顧客の双方から支持を受け、マーケットが広がっています。
 

3 インターネットの活用

 
 広告宣伝方法としてインターネットを活用している
 
 インターネットは、サービス業ではぜひ活用したい広告宣伝方法です。Y社長は、起業後間もなくインターネットを使ってホームページによる情報提供や旅行商品の紹介を始めました。最近では、ホームページからの問い合わせや資料請求が増加し、マーケットが全国規模にふくらんでいます。サービス業の特質を考えると、インターネットは費用対効果の高い効率的な広告宣伝手段ということができます。

 さて、A社は、もうすぐ設立2周年を迎えます。これからも、上の三つの成功要因を守りながら、これに新しい成長の源泉を工夫して付け加えていくことで、さらに大きな飛躍が期待できるでしょう。

(中野区中小企業診断士会 飯田廣己)
 

喫茶・コーヒー専門店成功の秘訣

2012-08-19

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

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 創業相談を受けていると、ここ数年の定年退職者の増加もあってかコーヒー専門店で開業するケースに遭遇します。喫茶、特にコーヒー専門店は、立地にあまりとらわれず、少ない投資で開業できるため、有望な創業対象にされているようです。

 まずは、喫茶店を大きく三つに分けてみましょう。

 

1 開放型

 デパート、ホテル、リゾート地などに見られる明るい雰囲気、サービス、味覚を重視し、単価は高めで多くは女性客を主な対象にしています。
 

2 画一効率優先型

 繁華街、地下街などに立地し、単価は開放型に比べると安く、セルフサービスで広い客層を対象にしています。
 

3 クラシック型

 商店街の外れや住宅地に立地し、単価は開放型と効率型の中間程度。マスター本人、夫婦や親子でオーナーの個性を強く打ち出したお店や商品。強いこだわりの感じられるお店が多いのが特徴です。

 それでは、クラシック型コーヒー専門店が成功する秘訣は何でしょう。

1 マスターの資質と人間性

 コーヒーショップに従事したか、専門知識が充分にあり、コーヒー、紅茶以外に製菓、軽食等の特技を有すること、足腰は壮健で性格は開放的で、あまりマニアックな個性を出さないこと、お客の話相手になれる常識の豊富なこと。
 

2 取扱い品目

 他店と差別化ができるコーヒー、紅茶の味を自信を持って提供でき、特技を発揮できる販売品目を持つこと。
 

3 開業、運転資金

 一客席あたり月商10万円(一日4千円)を基準にして、3か月分の自己資金を有すること。運転資金の確保のために粗利益率は70パーセントを目標に、仕入先、仕入れ単価、販売品目を選別すること。
 

4 店の雰囲気と客層

 コーヒー専門店らしい落ち着いた雰囲気を保つための造作、色調、調度品食器等を選択し、客層は店に相応しい固定客を作ること。特に注意すべきことは他人を排他するような特定の客のたまり場にならないように、客の入りやすい店にすること。

 これから開業しようとしている方、既に開業されている方々は是非参考にして下さい。

(中野区中小企業診断士会 手塚 典雄)

成功する事業化アイデアの条件

2012-08-19

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

 新しく事業を始めようとした時にそのアイデアを客観的にチェックしてみることをお薦めします。
 創業支援の現場で投げかける、6つの質問を以下にあげます。
 ともすれば自作のアイデアにおぼれ、状況を見失うことがありますので参考にして下さい。

質問1 その事業は自分で運営できるものですか?
質問2 その事業は自分でやりたいと思っていたことですか?
質問3 その事業の社会的意義は何ですか?
質問4 その事業に対するニーズはありますか?
質問5 その事業は他に無い独自のものですか?
質問6 事業化のタイミングは検討しましたか?

チェックポイント1 自分で出来るものであること

 この事業化アイデアは、自分や自分達の仲間の専門性をいかせることができる。しかも、その優位性は高く、他の追従を許さない。
○他人任せの事業化は失敗する確率が高いので注意しましょう。

 

チェックポイント2 自分がやりたいと思っていたこと

 この事業化アイデアは好きで楽しく、困難な局面になっても、あきらめることなく、長く続けることができる。
○単純に儲かりそうだからとか、いま流行しているからという事では長続きしませんね。

 

チェックポイント3 社会的意義を持っていること

 目先ではなく、長期的に事業が成立していける、社会的な欲求や環境条件に適合している。
○誇りをもって事業に取り組みたいものです。

 

チェックポイント4 社会的(個人あるいは企業の)ニーズに合致していること

 企業や個人のニーズに適合し、時代感覚にマッチした形態が維持適合できる。
○その事業が必要とされているのかどうか、市場調査をしっかりと行ないましょう。

 

チェックポイント5 明確な差別化ができていること

 自分らしさ、オリジナリティを明確に示し、他との優位的相違点を際立たせることができる。
○極論してしまえば、自分の事業でしか提供されない商品やサービスがあるかどうかです。

 

チェックポイント6 事業化のタイミングを決めること

 事業化アイデアの企画から商品・製品化等までの時期の設定は大切。特に発表・発売等についてのタイミングは、その生死をわける重要な決定事項で、慎重かつ的確な判断が求められる。
○類似のアイディアが既に発表されていないか、簡単に真似される危険はないか、専門家に相談する事も大切ですね。

(中野区中小企業診断士会 鈴木 勇吉)

支店開設を成功させる方法

2012-07-22

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

Aパン店にみる適正投資と経営システムの見直し

 事業が順調で、手元資金や人材等が確保できれば、支店を開設して更に事業を拡大したくなるかも知れません。このとき、明確な目的としっかりした経営の仕組み・構想を持つ必要があります。

1.支店開設の目的

 支店開設の目的には「成長戦略の一環から支店経営に乗り出す」「本店をさらに専門店化、グレードアップ」「新業態への挑戦」「人材育成」といった様々なものがあり、しっかりした目的のもとで行う必要があります。
 7年前に創業したAパン店では、オープン当初から支店開設の構想を持っていました。売り上げも順調に伸び、支店長などの人材が育ってきました。資金が蓄積でき、狙いどおりの好立地の物件も確保できたことから、念願の支店開設に着手することになりました。

2.支店開設の手順

 A店では、下記表1に示す手順を参考に支店開設を行いました。創業時から、支店開設を想定して物件情報などを入手するようにしていた事もあり、短期間で実施できたのです。
 一般に、設備投資額の目安としては、小売業などで適正な総資本回転率(売上高÷総資本額)を1.5~2.0回転とすると、総投資の概算枠=予想売上高÷総資本回転率(1.5~2.0)となります。
 また、投資の採算計算では損益分岐点または収支分岐点を活用する方法、投資利益率(総資本対経常利益率、6~8%がメド)をみる方法、回収期間を計算[投資額÷(税引き後利益+減価償却費)]する方法などを併用したいものです。
 

表1 支店開設の手順
  1. 物件が好適立地か、将来性はどうか
  2. リサーチによる確実な売上予測(本店の売上高実績、1人当たり売上高、商圏内購買力×予想シェアなどで検算)
  3. 店舗規模、駐車場台数を定める
  4. 投資額を決める(総資本回転率などを活用する方法)
  5. 資金調達方法を決める
  6. 年度・中期の収支計画を立てる
  7. 投資の採算計算(損益分岐点、投資の回収期間の計算など)

3.開設時の経営の仕組みチェック

 A店では、支店開設にあたって経営の仕組みも見直ししました。その上で、リサーチ結果に基づいて品揃えや価格設定、POPやちらし等にも工夫を凝らしました。周到に準備を進めてきた事が奏功し、オープン当初から順調にお客を増やしています。
 A店のように、支店開設に当たっては、その目的を明確にし、支店開設のステップばかりでなく経営面全般のチェックを忘れてはなりません。
 経営面のチェックは下記表2のポイントを抑えるようにすると良いでしょう。
 

図2 開設時経営チェックポイント
  1. 本支店経理システム・報告システム・顧客満足レポートなど支店管理ノウハウは万全か
  2. 支店を任せられる人材はいるか、適正な人件費計画があるか
  3. 好適立地選定の基準があるか、その選定ノウハウがあるか
  4. 市場調査により、確実な売上予測と適正投資額を守れるか
  5. 明確なターゲットなど経営コンセプトが固まっているか
  6. こだわりの素材、品質、味など競争力を高めるコアをもっているか
  7. 当該商品の購買行動を研究し、顧客ニーズにあった品揃えを実現できるか
  8. 強い商品、経営戦略をもっているか
  9. 商品の品質に見合った妥当な価格設定か
  10. 陳列、POP、接客、顧客管理、キャンペーンなど販売促進は創意工夫があるか

(中野区中小企業診断士会 山本武徳)  

売上不振の対策は要素の分析から

2012-06-23

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

出来るところから、とにかくやってみよう

 企業経営でもっとも重要な数値は売り上げでしょう。
 なぜならば、売上高は顧客の支持を最も表しているからです。
 売り上げが高い企業は顧客の支持が高く、売り上げが低い企業は顧客支持が低いと言っても過言でありません。「競合店が出来たから」「天候不順だから」「景気が悪いから」と売上不振の理由を自社企業の外に見つける事が多く見かけられます。しかし、その理由のほとんどが自社内、自店内に有ることが多いのです。
 売り上げが落ちてきた場合にまず行わなければならないことは、顧客数と顧客単価に分けて原因を探ることです。来店客数が減ったのか、顧客単価が減ったのか・・・さらに顧客単価が減少した原因は商品単価を下げすぎたのか、買い上げ点数が減ったのかを探る必要があります。
 


売り上げの4要素の図

 このように「売り上げが落ちる」理由はさまざまであり、これを克服する方策はそれぞれ異なるのです。

 それでは、売上構成の要素別に直接的な売上高増加策を考えて見ましょう。
 業種や業態、立地などにより異なる面も有りますが基本的には同様ですので、自店(自社)の参考にしてください。

 

(1)買上点数の増加策が最初のステップ

 まずは品切れを無くすことです。特に衣料品店などでよくある例ですが、サイズの品切れです。食品スーパーなどでも閉店間際では仕方ないものの、夕方早い時間での品切れは致命的です。
 その他、温度や天候など季節に合ったタイムリーな品揃え、適切なPOPの取り付け、関連商品の陳列による関連販売、試食販売、新商品の早期導入、興味をひく場所での大量陳列、見切りなどが考えられます。この方策が自社に合った場合、クチコミで徐々に顧客数は増えていきますので、直接的ではありませんが客数増加対策にもなります。

 

(2)商品単価の引き上げ

 単価の引き上げは、難しい方策ですので慎重に実施する事が必要です。
 単純に値上げしてしまえば競争力を失います。
 まずは商品のグレードアップでしょうか。量目の増加で割安感を出すことも考えられます。その他、お買い得感の出し方として、現金問屋などからの仕入れによる高価格商品のディスカウントも考えられます。

 

(3)来店頻度を増やす

 経費増につながりますので費用対効果のバランスを取ることが重要です。
 クーポン券やポイントによる次回来店の促進や動機付けが直接的な方法です。
 名物商品を開発するなど回転率の高い商品の品揃えも有効です。

 

(4)新規顧客を増やす

 戦略上最大の難関です。労力とコストが上記の3つの戦略の何倍もかかるからです。
 チラシ配布エリアを拡大する。
 営業時間を長くする。(深夜、早朝など)
 売場を増床し品揃えを拡大する。

 落ちた数字を眺めているだけでは決して現状は変わりません。
 上記(1)~(4)のように売り上げを構成する要素別に自社に合った方策を計画し、まずは実行することです。そして、検証し、改良を加えまた実行する。この繰り返しにより必ず顧客の支持を得る事が出来るようになります。

(中野区中小企業診断士会 若林 敏郎)

お客を呼び込む「入りやすい店」づくりは「基本」の徹底から

2012-06-23

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

お客様の視点から「入りやすい店」をつくる

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 顧客の買物行動の多様化が進み、商店街の集客力は低下し、売り上げ不振から空き店舗になる個人商店が増える一方で、生鮮品まで手掛けるコンビニエンスストアも出はじめました。
 売り上げ不振を打開するためには、まずお客を店内に呼び込むことが必要となります。『店』は「見せ」=「魅せ」に通じるように、店舗の吸引力を高めることが求められます。そのためには、以下のような4つの「・・せる」が大切となります。
 

  1. 店舗を目立たせる
  2. 店舗あるいは商品に関心をもたせる
  3. 商品をほしいと感じさせる
  4. 店に入らせる

 結果的に「お客が入りやすい店」づくりが、繁盛のための基本的条件ともいえます。
 しかし、現状はどうでしょうか? 3年ほど前に、区内のある商店街の加盟店(およそ130店)を対象に、顧客の視点で「魅力ある、入りやすい店」を目指して「店頭診断」を実施しました。その結果は、10点満点での平均点は、合格ラインぎりぎりの6点であり、5点以下の店が全体の3割を超えていました。
 この調査での特に目立った問題点を整理すると、以下のようになりました。
 

  1. 道路と店の入口に大きな段差のある店
  2. 店頭上部の看板部分や日覆いの汚れが目立つ店
  3. 店名の看板がはっきりわからない店
  4. 住まいと売場が雑然として、生活臭がにじみ出ている店
  5. 店頭や店内の陳列が雑然とした店
  6. 「売り」の商品がない、あっても全く目立たない店
  7. ショーウインドーが全く機能していない店
  8. 定休日や営業時間の表示のない店
  9. 道路へ大きくはみ出し陳列をしている店
  10. 照明が暗くて店内の様子がわからない店

 これらは、お客を呼び込む店として当たり前の基本的事項ができていない例です。
 はたして自分の店がどこまでできているか、他山の石として自己点検をしてみましょう。
 店頭をはじめ自店の状況を振り返り、店としての基本的な問題点は、早急に改善してお客様に支持されるお店を目指したいものです。
 
(中野区中小企業診断士会 片山 國義)
 

創意工夫がお店を変える(お客様の声で売上アップ)

2012-05-27

※2010年8月4日に中野区HPに掲載された記事です。

創意工夫がお店を変える(お客様の声で売上アップ)

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都内にあるK食料品店は、おにぎりやサンドイッチなどを扱うテイクアウトのお店。しかしコンビニや、コーヒーチェーン店の進出により、売上の減少を余儀なくされ、仕入れて売るやり方では、利益率も少なく廃業を視野に入れる日が続いていました。
奥さんの実家(九州)が食材の卸と弁当等の製造販売をしていたので、相談をしたところ、おにぎり専門の製造販売を推奨されたそうです。どうすべきか相談を受けた筆者は、「これからは、商品を仕入れて売るだけでは、大型店やチェーン店とは勝負にならないが、商品に一工夫加えられる製造販売システムなら、勝ち目はある」と激励しました。
食材等の支援を実家に約束してもらい、看板は「おむすびのK店」と書き上げ、手作りと健康、美味を売り言葉に、手作りのポスターを張り、店内の模様替えにも細心の注意をして再スタートしたのです。
ご夫妻は朝の4時から製造に励み、メニューも日替わりものを用意しました。コックさんスタイルでの顧客対応が受け、昼時には大忙しの繁盛店に生まれ変わりました。

多摩地区にある日本そば屋H店のお話。通行量の少ない広い道路に面したH店の店主は、職人気質のそば打ち名人といった「そば」一筋の人。味は天下一品、それなりに繁盛していました。ところが、3~4年前に大型チェーンの日本料理店と中華料理店が相次いで至近距離にオープンし、売り上げが減少しはじめました。
筆者は、お店で酒飲み垂涎(すいぜん)の的の一品料理を前に、元気がないご主人と話をしながら、メニューの見直しを勧めました。職人気質のご主人には、そば以外に手をつけるのは難しい話題であったと思います。しかし、新しい取り組みについて真剣に考える様子がうかがえました。
ある日、食事によったところ、「うどん」がメニューに加えられていました。数人で来店したお客様の「うどんはないのね」とささやく声がヒントになり、ふんぎりをつけるきっかけになったそうです。関東のそば職人としての誇りを考えれば、「うどん」に手をつけるには並々ならぬ決意があったはずです。しかし、思いきってお客様の声を取り入れたことで、廃業の危機は回避できました。

以上の2店からいえることは、移り変わりの早い今日、創意工夫をして自店の商品を見直すことの大切さです。つまり、仕入れて単に売ることから、一工夫加えて販売すること。自店の「こだわり」は大切にしながら、顧客のささやきというシグナルを見逃さないことが、売上アップのヒントといえるでしょう。

(中野区中小企業診断士会 新谷 安良)

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